思惑と感情が入り交じる3月も 鈴木優は己の麻雀を貫く【Mリーグ2023-24観戦記 3/1】担当記者 東川亮

これに対し、親番で南ドラ赤のテンパイを入れていた優は、無スジをスッと切っていく。押すと決めたときの迷いのなさ、これこそ「戦闘民族」の戦いぶり。

枚数では不利なぶつかり合いを制し、5800は6100のアガリに供託も回収して加点に成功。

連荘で迎えた南1局3本場には渋川の早いリーチを受けるも、ペンチャン残りの1シャンテンでワンチャンスのマンズを切っていく。微差のトップ目とは言え、ここから守備に回っていては取れるトップも取れないということだろう。自身の手もドラドラ赤で、価値が高い。

ペンチャンから埋まってのリャンメン待ちリーチは絶好。こうなれば両無スジも叩き切っての真っ向勝負。

渋川から打ち取って12000は12900。試合の主導権を一気に手繰り寄せた。

南4局1本場、優に最後の試練が訪れる。

序盤に役牌を鳴いた後に安全牌がない状態で亜樹からリーチ、さらに渋川からリーチがかかった直後にテンパイした。ただ、出ていく牌は亜樹に片スジ、渋川には2スジ分の危険牌である。そして、渋川へ5200以上を放銃してしまうとトップから陥落して試合終了という危機。あえて通りそうな牌をひねりだすなら、マンズのメンツから中抜きする手もあった。

だが、ここはまっすぐ打った。メンツを崩したところで安全牌が続く保障もなく、それであればリスクを負って前に出て終わらせに行く。

次巡にはさらに無スジを引くが、現物が3枚できたことで受けを選択。このギリギリの押し引きこそ優の真骨頂だろう。この局は亜樹がツモアガって、試合は続く。

南4局2本場は亜樹の第1打をカンチャンチー、チャンタ一気通貫の両にらみで発進。

ツモがチャンタ方向に進み、鳴きもかみ合ってテンパイ。余談だが、優は鳴く際に必ず手牌から手を離し、鳴く牌を見せてくれる。同じチームの小林剛が意識してくれているムーブだが、キャプチャを撮る側としては非常にありがたい。

最後は渋川からアガって試合終了。リーグ最多となる9勝目を挙げた。

勝利の後は、最近流行のカメラ目線。娘さんにお願いをされたらしいが、この男がやるとやはり絵になる。

チーム状況・個人タイトルなどいろいろな重圧が懸かる3月の戦いにおいても、優の麻雀は変わらない。戦闘民族としてどこまでも戦い、そして勝つ。

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