侵掠すること火の如く〜二階堂亜樹の大仕事【Mリーグ2023-24セミファイナル観戦記 4/30】担当記者 千嶋辰治

亜樹は一連の3局で48,000点の和了を決めて、持ち点は70,000点オーバー。
ボーダー争いを演じている両者が揃って箱下に飛ばされるという展開に。

次局は白鳥が優からのマンガン和了で、長かった亜樹の親番をようやくカットすることに成功。

全10局に及ぶ長い東場が終わったが、亜樹の猛攻は止まらない。

迎えた南2局。白鳥の親番。

「思うことやっていいよ、全部。」

映像の中にもあるとおり、チームの精神的支柱である多井から全権委任を受けた白鳥。
奇跡の大逆転に向けて一矢報いたいところだったが、現実は非情だ。

第1ツモで【白】がトイツになり、イーシャンテン。
そして、この【白】は白鳥の手にあらかじめ送り込まれていた。

3巡目に切り出すと、亜樹がポンしてドラ切り。
テンパイだ。

 

この親番が落ちることは、ABEMAS事実上の終戦を意味する。
それだけでも意味深い1局なのだが。

亜樹の手が変化。
【6ピン】で和了ると三暗刻がついて高めハネ満のテンパイ。

さらに、

【發】を引き入れて小三元に渡り、倍満テンパイに進化。
【發】は場に1枚切れ。
【中】が見えていないことから三元役は警戒されて然るべきだが、早い巡目なら打ち出される可能性は大きい。

そう。
早い巡目なら。

同巡、ション牌の【東】と入れ替えられて園田から打ち出された【發】

これに亜樹から声がかかって16,000点の放銃。

ファイナルシリーズで戦うであろう相手に深淵の彼方へ追いやる倍満和了。
討ち取られたドリブンズも激痛だが…。

2018年のMリーグ発足からファイナルを一度も外していない名門チームが、ついにセミファイナルで事実上の終戦を迎えた瞬間でもあった。

対局後、インタビューに臨んだ白鳥。

「リーグ戦は積み重ね。一生懸命やったが、最後でどうにかしようと思っても相手も強く、思うようにならなかった。」

今日の戦いをこう振り返った上で、白鳥は続けた。

「自分ではレギュラーシーズンでの取りこぼしが多かったと感じている。もう少し貯金が作れていたら、こんなに苦しくはならなかった。」

あくまで敗戦の理由を内に求めている言葉が続く。

「悔しいよりも不甲斐ないという気持ちが強い。」

インタビューの冒頭でこのように語った白鳥。
最後には以下のように締めくくった。

「もし来季もMリーグで戦うことができるなら、いっぱい努力して戻ってきたい。そしてその上で負けたなら、『不甲斐ないよりも悔しい』が優っているように精進したい。」

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