悩む姿も美しい岡田が紡ぎ出したのは…
なんと、打だった!
もう一度場を見てみよう。
新ドラが乗った仲林は、勝又のリーチを受けてを手出ししている。
ここで有効牌を引いていない限り、テンパイではない。
そして勝又のリーチには序盤の→の切り順から比較的切りやすい。
そしてが暗槓されていることから、は機能的に実質端牌(19牌)と同じと言えるし、たろうロンされてもトイトイと言われず安く済む可能性が十分にある。
を切って形の良いイーシャンテンをキープし、無理そうならを連打してオリきることができる。
攻防一体の打に、岡田の執念を見る。
これぞ5年間の集大成といった1打だ。
この局の結果は
たろうの2000は2300となったが、4者の想いが交錯し、1つの結果が出て、その結果に見ているものが一喜一憂するのが麻雀の魅力だと感じた。
直後の一局、岡田が少し迷った。
そして、ここから上家から打たれたをチーしたのだ。
岡田としては、アガればトップの一局で手牌を前に進めることが間違いなわけが無いと感じたのだろう。
かなり難しい選択だと私は感じる。
一人麻雀ならチーが正解だ。
だが、上家の仲林にとってはサクラナイツよりドリブンズトップがマシであり、アシストは望めないどころか、絞ってくる可能性すらある。
そもそも残っている部分は簡単には出ない牌である。
そう考えた時に10種類以上の有効牌があるこの手牌でいきなりネックでもない部分を鳴き、愚形ばかりを残すチーが早くなっているかは微妙なところだ。
だからこそ、岡田も迷った。
全日本結果論協会の報告によると、チーしなかったら→→とツモり、アガリがあったかもしれないとのこと。
この局はすぐに勝又からリーチが入り「勝又さん早くアガってよ!」という岡田の声もむなしく流局。
たろうが連荘で粘っていると、とうとう恐れていた事態となった。
早い3面張リーチが入り、状況的にオリられない岡田が高目ので12000の放銃。
力なく顔を伏せる岡田。
完全に掴みかけていたトップが、するりと手からこぼれ落ちていった。
そのまま逃げ切ったたろう。
「悔しいです」と率直に語った岡田。
負けられない理由がぶつかり合い、それでも1つの結果に帰結していく。
長かったMリーグもあと2日を残すのみ。
最後に笑っているのは、断然有利となったPiratesか。それとも。
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」