【 #神域リーグ2024 第26試合観戦記】諦めてたまるか……!終わってたまるか――! #鈴木勝 が最後まで手を伸ばし続けた先【文 #後藤哲冶 】

今シーズン一番苦しんでいる選手は誰か。
そう問われたら、私はいの一番に挙げる選手がいる。

鈴木勝。
昨年はアトラスの一員としてチームに貢献していた勝は、今年はグラディウスでの参戦。
……が、厳しいチーム状況を体現するかのように、今年は苦しい戦いが続いている。

捲り合いに勝てず、序盤にポイントを失う展開が続いた。
その結果、勝ち目の薄い勝負に立たされ、更にポイントを失うこともあった。

試合後、チームの検討配信を終えて、もう日付が変わった後。
一人、段位戦を打つ勝の姿があった。
『このままじゃ寝れない』
配信のタイトルに書かれた言葉が、勝の心の内を示していた。

グラディウスは次節が抜け番なので、事実上、これがレギュラーシーズン最終登板。
チームのために、優しく麻雀を教えてくれた人達のために、そして、自分のために。
絶対に、勝利を掴みたい。

第9節 第26試合

東家 鈴木勝  (チームグラディウス)
南家 渋谷ハル (チームゼウス)
西家 緑仙   (チームヘラクレス)
北家 朝陽にいな(チームアトラス)

東1局

親番の勝が、【中】をポンしていく。
ドラを2枚使い切ることができなくても、567の三色がつけば5800の形だ。

形が変化してイーシャンテンになった後。
緑仙からのリーチを受ける。
【4ソウ】が比較的早く切られている緑仙に【3ソウ】を切ると。

これが通らない。8000点の放銃で、勝がこの試合も苦しいスタートとなってしまう。

「ろたんのためにもね、点数稼いでいかないと」

1試合目で4着となったチームメイトのため、緑仙も全力を尽くす。
負けて良い人なんて、この場には存在しない。

「まだ東1が終わっただけなんで……!」

勝が気持ちを切り替えた。
どんなことがあっても、無慈悲に局は進んでいく。

東2局1本場

1試合目にトップを取って連投となった渋谷が、勢いそのままに2000オールをツモって緑仙に追い付くと。
更にこの1本場も、この形からペン【7マン】待ちのリーチを敢行。

「手変わりめっちゃあるけど、【7マン】出た時に倒せない(ロンと言えない)の痛すぎる」

素晴らしい判断だ。打点は既に十分。【6マン】を3枚使っていることもあって、相手が【7マン】を使いにくくなっていることも大きい。

これに捕まったのが、アトラスのビースト朝陽にいな。7700の放銃。
安全牌がほとんどない状況で、自身の手もドラ赤のイーシャンテン。

「ロンきつい……けど、これはね、行った方が良いと思う」

過剰な反省は時に思考を鈍らせる。
行くべき牌は打つ。そのうえで、朝陽も気持ちを切り替えた。

東2局2本場

この局はリーチをかけた渋谷の1人テンパイで流局。
しかし倒された手牌を見て、勝が思わず苦笑い。

「2枚切れの【東】とかもう本当に出そうだったんだけど……」

しっかりとオリ手順を踏んでいなければ、放銃の危険があった。
それにしてもこの最後の東が勝の所に来てしまうのが、勝に嫌な感覚を植え付けさせる。

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