「人間離れした人間」渡辺太、過去の自分の集大成たるAIを超えてー【Mリーグ2024-25観戦記 10/22 第2試合】担当記者 #髙倉拓馬

太がテンパイして考える。【南】は安全牌。問題はリーチをかけるかどうか。役なしだが待ちは良くなく、のこりは1巡しかないためアガリ率が低い。僅差だがトップ目、かけない選択肢もあるが…

太はリーチを打った。

リターンは1巡しかないが放銃リスクも1巡しかないためしのぎ切れる可能性もかなりあり、それならば松ヶ瀬の現物で松ヶ瀬からはほぼ必ず打たれる【6マン】を一発でしっかり捕えようという考え。あがれれば決定打になる。

それに、【2ソウ】のリャンメンチーから役牌バックで発進する好手を見せ、テンパイした高宮を、

最終巡に降ろしてリードを広げるという可能性もある。今回は渋川も参戦する3軒リーチの様相を呈したためシンプルに降りたが、松ヶ瀬・太の2件リーチの場合は、

「松ヶ瀬1人なら押すけど太も来るならやめる」

牌があり、その牌で高宮を降ろせれば儲けもの。

…とはいうが、あと1巡しかない愚形待ち、しかもこのように渋川の参戦もありうる状況で、このカン【6マン】でリーチを打てる心の強い人間がどれほどいるのだろうか。私は常におびえている。

 

この局は松ヶ瀬が一発ツモ。6000オールのアガリを手繰り寄せるが、

南2局1本場で太がツモ、タンヤオ、三色、赤2の3000-6000。

このリードを守り切り、自身3勝目となった。

「要所で手が入って、ラッキーなトップを取りこぼさなかった」と謙虚に語る太。

だが、この選手の麻雀を見ていると、ラッキーという言葉では片づけられない、そのような高い力を感じる。

「人間離れした人間」渡辺太。AIの麻雀が彼を超える、その特異点はまだまだ先だ。

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