折れない笑顔の花―― #日向藍子 想いを繋ぐ嶺上開花【Mリーグ2024-25観戦記 12/2 第1試合】担当記者 #後藤哲冶

南3局4本場

日向が4着に近づいたことで、勝又が動きやすくなる。
少しでも着順上昇のチャンスは逃さない。ダブ【南】のポン。

続けざまに親番堂岐が仕掛ける。【中】のポン。
トップに挑戦するならこの親番が最後のチャンス。
赤赤を手の内に残してこの手牌なら、当然のポンだ。

そして負けられない日向も、ドラの発をポンして前に出る。
南3局ということも考えれば、この手にオリは無いだろう。
全力で前に進んでいく。

最初のテンパイを入れたのは親番堂岐だった。
【3マン】【6マン】待ちの5800。これが山に5枚。

日向も追い付く、【8マン】を引き入れて【4ピン】【7ピン】待ち。
これも同じく山に5枚。

最後方から勝又が追い付いた。【6ソウ】【9ソウ】待ち、山に4枚。

3人テンパイ、アガリ牌計14枚のめくり合い。
そして日向の所に来たのは、自らがポンしているドラの【發】

加カンだ。
仕掛けているのが3人で、残るトップ目の菅原からリーチが来るとは考えにくい。
裏ドラを与えてしまうデメリットが無く、ドラが1枚増えて跳満になるのもあって、当然のカン。

チーム状況を考えれば、もう一回だって4着は引きたくない。

どんなに辛くても、笑みを作って耐えてきたこの半荘。
最終盤のめくり合い、手を伸ばした先――

嶺の上に、笑顔で作り上げた花が開いた。

【發】、嶺上開花、ドラ4赤。
3000、6000。

苦しい状況からなんとか、日向が3着を持ち帰ったのだった。

南3局4本場の3000、6000で、日向は2着目堂岐に肉薄するも、最後は及ばず3着。

南4局1本場では、珍しく日向の打牌に力が籠っているシーンが見れた。
チームの状況も相まって、日向の勝ちたいという想いが溢れたシーンに見える。

日向が今日最後にアガった、嶺上開花という役。
嶺の上に花が咲くという、とても雅やかで華やかな役だ。

『咲く』という漢字は、実は“咲う(わらう)”という読みがある。
花が開いたような満開の笑顔、という意味だ。

今日嶺の上に花開いた嶺上開花のように。

今シーズンこれから、日向に――心から笑った、満開の笑顔が咲き乱れて欲しいと、願うばかりだ。

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