折れない笑顔の花――　#日向藍子 想いを繋ぐ嶺上開花【Mリーグ2024-25観戦記 12/2 第1試合】担当記者 #後藤哲冶

しかし、こと麻雀においては、勝負はどう転がるかわからない。
親番堂岐の攻めもあり、安全牌に窮した勝又が、スジになっていたを選んだ。

日向のアガリ。5200ではあるが、着順上昇が見えてくる勝又からの直撃は悪くない。

流局を挟んだ、東４局１本場。

日向に勝負手が舞い込んだ。
を引き入れてイーシャンテン。日向が選んだのは。

。
ダイレクトにを引いた時のテンパイは嬉しく、周りのくっつきもまだ見たい。
や、が雀頭になってのという形が作れなくなるが、はタンヤオが崩れるのであまり嬉しくない都合上、こう構えるのが良いだろう。
こうしておいてもツモは形が良くなって帰ってくる。

を引いた後に、勝又からドラのが放たれる。
これをチーしてテンパイ。待ちはカンに構えた。

追い付いた親の勝又からリーチが入る。待ちはペン。

日向もオリるわけにはいかない。生牌の、と押してテンパイをキープ。
打点があるからこそ、押しやすい。リターンが大きければ大きいほど、背負うリスクに対して見合うからだ。

残り１枚だったを、リーチ者勝又から捉えた。
8000点のアガリ。これで上位陣に食らいつく。
さあ、南場の親番だ。

南１局、日向が積極的に仕掛ける。
役牌をこの形からポン。

結果的にテンパイに辿り着く。
勝又からのリーチ一発目に持ってきたは通っていないが、迷わずプッシュ。
2900点のリャンメンテンパイ、そうそうオリる必要が無いのは日向も分かっている。

すぐに勝又からが出て2900の討ち取り。
これで２着目堂岐に並ぶ位置まで来た。

南１局１本場は流局し、南２局２本場。

日向に嬉しいテンパイが入る。
が２枚切れになって即リーチを打ちにくくなっていたところに、嬉しいツモ。
これならば文句なく勝負に行ける。リーチのみではあるが、待ちの良形テンパイだ。

ここに親番菅原がドラの赤を引き入れて勝負手に。
ロスが無いようにうつなら打だが、ここは打とした。
を切ってもの受け入れが残る以上、ここは打が有利だと思われるがどうだろうか。

これが裏目。残酷にもが３枚河に並んでしまう。

菅原がを捉えていれば12000の放銃牌だったを、日向が掴む。
菅原がこれをチーして、のシャンポンテンパイに。

ロンではないことが救いか――
そう思ったのも、束の間。

最も残酷な牌が、日向の元へやってきた。

での放銃は、なんとドラ３赤赤の18000。
本来12000で済んでいた失点が、6000点多くなってしまった。

あまりにも厳しすぎる結果。

悔しい気持ちは、あるだろう。打って当然のリーチが、最悪の形での決着となってしまったのだから。
それでも、日向の表情から、笑みは消えなかった。
ネガティブな事を認める彼女が、自らを鼓舞するように笑みを作った。