
絶好の引き!
マンズの形は複雑だが、なんでもござれの構えだ。
真ん中のメンツを抜くと、











となるので、アタマとしてはノベタンが2パターンで、–
–
–
待ちだ。
ほかにも、を左ブロックから右ブロックへと移動させると、











となるので、右側ではメンツとなる–
–
受けも存在する。ソウズが縦に重なれば、マンズ三面待ちだ。
加えて、右のを左に移すと、











という分け方も出来るので、右ブロックを見るともアタマ待ちとして存在するのがわかる。
つまりは、マンズ全部待ち状態である。これはすごい。
ただ、今は自分が打っていない状態でゆっくり計算したので、冷静に受け入れの種類を導き出せた。
実戦では、とりわけ光を浴び続けているMリーグの舞台では大変だ。
このあと、

渋川が打ったに、

思考する中田。
しばらく考えたのちに、

待ちは、

に取った。
が出てから、打牌完了まで「75秒」。
この時間が、あとで各者の運命を変える。
仕掛けによって、渋川に先んじてテンパイを入れた中田。
対して、

ソウズでのテンパイとなれば、中田のアガリ牌が押し出される渋川。
持ってきたのは、

だった。
当たり牌を吸収してのテンパイだ。
これで、五分以上のめくり合いだ──と思ったのも束の間、

渋川のもとへやって来たのは、中田への超危険牌、だった。

ほとほと困った様子の渋。
頭の中で、配信で演じてきた「トップ取り先生」がささやきかける。
“オセ…”
いや、それはわかっている。
問題は、

「と
どっちを押すか」だ。

チラリと中田を見やり、

眉をしかめたのちに、渋川は心を決めた。

ツモ切り! 渋川が打ったのはだ!!
針の穴を通すような選択で、中田への放銃を回避した!!
カンチャンにとると、待ちが2枚切れで苦しいのもあるが、
渋川は、さかのぼっての、

打時の、中田の長考を見逃さなかった。