第9節 第25試合
東家 龍惺ろたん (チームヘラクレス)
南家 渋川難波 (チームグラディウス)
西家 渋谷ハル (チームゼウス)
北家 風見くく (チームアトラス)
このメンバーを見て、神域ファンの多くの方は、風見くくが昨年監督として指導してもらった渋川に挑戦する、とまず思ったのではないだろうか。
それは、もちろんその通り。
リーチの強さを教えてくれたかつての師に、成長を示せる機会。
だがもう1人、同じく渋川に麻雀を教わっていたのを知っているだろうか。
渋谷ハルだ。
昨年アキレスの一員としてのシーズンを終えた後、渋谷ハルは1人、渋川に麻雀の教えを乞うた。
昨年のシーズン、渋谷は出だしこそ良かったものの、そこからは徐々にポイントをマイナス。
最終的には150を超えるマイナスポイントを抱えてしまい、個人としては全体の19位でシーズンを終えた。
リーグ全体で一番苦しかったのが風見くくだった、と認識している人は多いかもしれないが、その1つ上は渋谷ハルだったのだ。
渋川に教えを乞うたのは、その悔しさからというのも、理由の1つにあるかもしれない。
そして今年もまた、なかなかプラスポイントを持ち帰ることができず、苦しんでいる。
チームの為、そして昨年から成長した姿を見せる為、渋谷ハルが自らのコーチに挑む。
東1局
渋川のリーチを受けて、安全牌が無い。
この手牌から、渋谷が選んだのは。
ドラの。
ドラではあるものの、中筋の牌で、のターツ外しが入っていることから、メンツ手だとするとかなり当たりにくい牌。
これでイーシャンテンをキープすると。
ここでテンパイ。を切れば、タンヤオ赤1のテンパイだ。
「打とう、愚形にしか当たんない」
が4枚見えになったことで、が打ちやすくなった。
短い時間の中で、しっかりと場が見えている。
アガリ牌のは、親番で粘るろたんが通している現物待ち。
残り巡目が少ないことも相まって、ここはダマテンに構えた。
これをすぐに龍惺から捉える。
2600のアガリで、渋谷が先制。
東2局
こちらも渋川に挑む形となった、風見。
ドラが2枚でタンヤオの仕掛け。をポンして、ここはのターツに手をかけた。
タンヤオに進むのであれば、の受け入れはいらない。
であれば、だけの受け入れよりも、ポンもできて形が変わるを残したほうが良い。
しかし次巡赤を引いて話が変わる。この牌を使い切ることができれば、8000点の手になる。
ということで、改めて切り。これは良いバランス。
テンパイが入った後、親番渋川からリーチを受けてしまう。
を引いてきて、をポンしていることもあり、これは圧倒的に切りが良いだろう。
しかしこのがなんと渋川のロン牌。
良いバランスで打っていた風見だったが、5800の失点で、一歩後退となってしまう。
続く1本場は渋谷が軽快に仕掛けて1300を渋川から直撃。
こうしたかわし手をしっかりと仕掛けていけるのが、渋谷の強み。
この時の風見の手を見れば、この渋谷のアガリが大きな価値を持つことは、分かってもらえるだろう。
風見としては、リーチと言う時間さえもらえなかった。