渋川難波の、最高にハイってやつな半荘【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 12/16 第2試合】担当記者 カイエ

渋川難波の、
最高にハイってやつな半荘

文・カイエ【火曜担当ライター】2025年12月16日

Mリーグにおける渋川難波の印象的なシーンは、大きく2つある。

1つは公式解説としての素晴らしい活躍ぶり。
選手に憑依するというその解説は、的確で、素早くて、時に熱く、何より勉強になった。『魔神ラーニング』という戦術本には、そのエッセンスが書かれている。
この解説を失うことはMリーグにとって大きな損失だと感じ、渋川が選手として指名されることを望まなかった記憶すらある。無論その実力と実績から、遅かれ早かれMリーガーになることを疑う余地はなかったものの。

2つ目は2022年11月7日の「事件」だ。
この日の第1試合で、黒沢咲により112700点という当時の最高スコア記録が樹立された。
そして、当時の最低スコア記録も、同時に誕生したのだった。

対局時間や総局数の26局などを含め、数々のレコードを打ち立てた伝説の半荘だが、その最大の被害者が渋川だった。まだMリーガーになって4ヶ月も経たない時期の洗礼。

しかしより印象的だったのは、観る者誰もが疲労困憊のなか、どこか飄々と、憑き物が落ちたかのような感じでチームに促されて連闘し、見事に汚名返上のトップを獲得したことだった。この日をもって渋川難波は、名実ともに有能解説者からMのプレイヤーになったという印象がある。

第2試合

東家:瀬戸熊直樹TEAM RAIDEN / 雷電)
南家:園田賢赤坂ドリブンズ
西家:渋川難波KADOKAWAサクラナイツ
北家:仲林圭U-NEXT Pirates

Mリーグ2025-26シーズンもいよいよ折り返し。
本日のKADOKAWAサクラナイツの2戦をもって、全チームが60試合を消化する。

東1局

開局から激しい攻防が繰り広げられる。

リーチ一番乗りは渋川。
すでに瀬戸熊から【1ピン】の暗槓が入っており、ピンフ・ドラ・ドラで満貫【2ピン】【5ピン】待ちは、山に3枚。

同巡、仲林も追いつく。こちらもメンタンピン赤の満貫から。待ちの【3ピン】【6ピン】は山に4枚。

さらに同巡、瀬戸熊も【中】を暗刻にしてテンパイ。渋川と仲林のピンズ待ちをギリギリすり抜ける【4ピン】切りリーチ。こちらも【1ピン】の暗槓で親満から。【3マン】【6マン】待ちは、山に4枚。

西家の渋川を起点に、3連続で満貫確定リーチが入る。

そして、これを一発でツモって、制したのは渋川だった!
リーチ・一発・ツモ・ピンフ・ドラ・ドラ・裏で3000・6000のアガリ。

息もつかせぬとはこのこと。
おそらく視聴者の感情も追いつかないままに、オープニングアクトが終了した。
計測したところ、渋川のリーチ宣言から数えて、ちょうど30秒の出来事。

 

東2局

前局、ハネ満を親かぶりの瀬戸熊。

4巡目に絶好のペン【7ピン】を引き入れ、三色も見えるリャンメン&リャンカンのイーシャンテン。

三色が崩れる【6ソウ】ツモだが、ここはカン【6マン】待ちでリーチ。

すると、これをツモってリーチ・ツモ・赤の1000・2000。

 

東3局

渋川の選択がハマる。

チートイツのテンパイで、打点のあるドラ待ちに受けるか、アガりやすい1枚切れの「単騎は【西】で待て」とするか。

ここは「おじいちゃんが言ってた」(松嶋桃)格言通りの【西】待ちの方でリーチ。

ドラ【6ピン】は園田にずっと暗刻。
見事に2枚まるっと残った【西】待ちの選択が当たった。

一方、瀬戸熊はカン【6ピン】待ちでリーチ。
渋川のリーチ宣言牌のドラを誰も合わせていないことから、山にある可能性も。
しかし、無情にもこれは純カラ。

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