要は、ここまでに白鳥が押してきた場面よりも、を打つかどうかのこの段階では「小林がテンパイしている可能性がますます高くなっている」のである。
しかも、
ピンズの上(数字の大きい方)に意識を向けると、下家の内川も対面の大介も、比較的早めにやを打ち出しているのが分かる。
自分の手にも周りの数牌がないので、相対的に小林がピンズの上を持っている可能性が上がる。リャンメンはもちろん、シャンポンなども別途、怖いところだ。
加えて、シャンポンで当たった場合もそうだが、ドラのをトイツで持っているパターンが全く消えていないのも、押す上では懸念材料となる。
ここまで、丁寧に詰めていくと、
を打つ前に、白鳥が苦悩していた理由も分かるというものだ。
「刻一刻と進む時の中で、これらの思考を巡らせながら打っている」そのこと自体が凄いな、という感情も自然に浮かんでくる。
では、は止めるべきなのだろうか?
問題は、
このが「あまりにも使いにくい」牌だということだ。
くっつけて使える、真ん中あたりの数牌ならば、止めて迂回ルートをとっても、使い切っての復活が期待出来る。
ただ、を捨てている状態で、を使おうというのは非常に厳しい。
また、先に述べたとおり、小林は「ブクブクのイーシャンテンかテンパイ」なので、テンパイしていない可能性も存在する。
など、考えられる自然なイーシャンテンの形も出てくるだろう。
よって、ここはを押した方がいいように感じる。
筆者としては、
切る:切らない=7:3
くらいの感覚なので、「切るのは仕方がない」という表現が正しいのかもしれない。
みなさんはどう思われるだろうか。
そして、の選択より前の分岐で、何か出来ることはなかったか、と考えるのも面白い。
①の場面で、
小林の第一打を鳴いて、123三色や純チャンに向かう手はなかっただろうか?
そして、③のときに、
(をツモる前に)小林から出たを鳴いて、234三色のテンパイにとる選択肢もあったのではないか?
順に見ていくと、
①は、チーしてやあたりを切る選択肢も、もちろんありだ。
だが、この時点では、河の情報が全くない。
そのため、鳴いたあとで、主に河から「あっ、この人ヤバそうだ」という情報が出てきたときに、自分の手が短くなっているのは危険だ。トップ目なので、その展開は避けたい。特に、ラス目の親である小林はフルスロットルで来るだろう。全員の「間合い」をつかみながら進めたいところではある。
他にも、123三色のキー牌が、以外にあと2つもあることはかなりの懸念材料であるため、ここはスルーするのが無難であると考える。
鳴いても愚形だらけのリャンシャンテンなので、テンパイにはまだ遠いというのも大きい。
言い方が難しいが、不特定多数で打つときは鳴くのをオススメしたい。
読みの精度が高いMリーグだと、来る人は攻めてきて、来ない人はこちらの必要牌を止める、といった「楽をさせてもらえない展開」になることも多いからだ。
逆に、ネット麻雀の段位戦や、フリー麻雀で打つときは、そこまでマークがキツくならないことが多いだろう。123三色に純チャンを絡めて、仕掛けも駆使しながら3900のアガリを狙うのがいいように感じる。
一方で、③を見ると、
こちらはチーする方がいいように思う。
①と違って、テンパイなのが大きい。
しかも、明らかに速度感のある河をしている、親番小林の現物待ちになっている。これも心強い。
2つ以上鳴いたら警戒されそうなものだが、1副露の間ならが打ち出されても不思議はない。
片アガリになる不安はあるが、オーラスをトップ目で迎えられる価値も大きく、ここは積極策を取った方がよかったのではないだろうか。
を掴んだ瞬間より、この場面での鳴き判断がターニングポイントだったように感じる。
と、ここまで読んで「細かい話だな…」と思った方も多いだろう。
それくらい掘らないと「もしかしたらミスかも」という場面が出てこないくらい、今の白鳥は充実している。
読みも鋭く、攻守のバランスもとれているように思う。実際に、個人では20試合で+243.9の好成績だ。
だが、チームとしては、
渋谷ABEMASが始まって以来の、非常に苦しい状態だ。
そして、この試合でも、
一つ上にいるサクラナイツに先着を許し、差を広げられる結果となってしまった。
だが、うつむいてはいられない。ここから先、