小林の選択は、押しだった。
現状、大介との点差は12600。ここで大介に1人テンパイを取られてしまうと、その差は一気に4000点縮まって、8600。
そして南3局が続くので、最低2局は残ることになる。
南4局にマンガンツモ条件が残ると、赤が3枚入っているこのルールでは、逆転される可能性も大いにある。
比べて、ここでもしツモか大介からの直撃が取れた場合は15000以上の差が開くため、大介のオーラスハネマンツモ条件すらも残さず、残り1局。
その差は、あまりにも大きい。
加えて、大介の手出しがと後から出てきており、少し無理やり形式テンパイからタンヤオに向かった可能性もある。
そもそも2枚目に出てきたのポンであることから、タンヤオドラドラがくっきり見えている形とは考えづらい。
取りたいのはトップ。
感情こそ表に出さないが、小林の脳は冷静に、そして丁寧にトップを取るための最善手を導き出していた。
を、押した次巡――
小林の決死のプッシュに応えるように――なんて。
そんな非科学的なことを書いたら小林に怒られてしまいそうだが。
兎にも角にも見事、トップを決める値千金のツモで。
パイレーツに12月24日ぶりのトップを持ち帰ったのだった。
オーラスの3着争いは竹内に軍配。
リーチ判断も難しい局面だったが見事900点差での3着を持ち帰った。
トップを取った小林だったが、そのインタビューも至っていつも通り。
小林のことだ。どんなメンバーに囲まれても、やはり逆風などは感じてはいなかったのだろう。
けれどそんな、小林の“いつも通り”のインタビューを待っていたファンはきっと多いはずだ。
パイレーツはこの日第2試合でも仲林がトップを獲得し、見事デイリーダブルを達成。
強いパイレーツは今年も健在。納得の安定感で、上位陣へまたしても肉薄。
Mリーグ2024-25シーズン。
優勝の行方はもちろん、まだまだ分からない。