から
を切った場合以外では、
がほとんど当たらないと読める。
ちなみに、自身が3枚持っているので、シャンポン待ちはない。
またから
を切ってのカンチャン待ちも、猿川が
を持っていることから、まず出てこないだろう。
が黒ならリャンメンにとることが大半だ。
ここで手牌の中で最も安全度の高いを2枚切ることで、

時間を稼ぎつつ、マンズやソウズの横伸びを待って、危険牌を使いながらの押し返しを狙える。
また、を「1枚」外したあとに、
あたりが通れば、それはそれでピンズの横伸びも待てる。
いずれにせよ、比較的通りやすいを切って、焦らずにいったん引きつつ態勢を整えるのがいいように思う。
先ほど述べた通り、難しい選択ではある。
しかし、放銃という結果が、そのダメージが、
猿川にのしかかる。
手痛い傷を無数に負っても、

試合はそのまま続いていく。
ここは戦場。
Mリーグスタジオの真ん中。
誰も手当てには来てくれない。
猿川真寿は左手で卓のボタンを押し、親番を始めた。

潤沢な手材料が、やっと動いた12巡目。
猿川は、

打とする。

こうしておくと、でテンパイだ。広さが魅力的で、巡目が深いことも考慮した選択である。
リャンメンを引くとイマイチなテンパイにはなってしまうが、マンズが繋がっている分、–
引きにはある程度対応出来る。
一方だ、タンピン三色や一盃口を強く見つつ、緊急時のチーテンも取りやすい、をアタマに固定する打
も有力だ。
今が通ったこともあって、
→
を切る方が、
を打つより安全そうなのもある。
これもまた難解で、どちらもある場面だろう。
2巡後、猿川のもとにやってきたのは、

だった。
嬉しいけれども、嬉しくない。

“これを引くなら言ってくれよ──”
とボヤきたくなるようなツモだ。
それでも猿川は、

前へ前へと踏み込んだ。
–
待ちでリーチだ。
親リーチを受けて、子方は全員オリた。
あとは山との勝負だ。
最後のツモ番。猿川が持ってきたのは、

無情にもだった。
“をヘッド固定していれば──”

何ということだろうか。
襲いかかる、苦難の数々。
しかし、決して腐らずに、次の局も、

リーチで親番を繋いでいく。
そんな猿川に、南1局3本場、

勝負手が入った。
ドラのがアンコだ。
「チー」「チー」

1つ、2つと鳴いて出る。
そこへ、