しかし次巡、持ってきたのは無情な。
小考の末、滝沢はカンを手放してフリテン両面を残した。今河に二枚目のも切られてしまい、さすがに枚数での選択となった形だが……
とことん牌に弄ばれる、引き。とはいえこれが敗着に繋がるケースはほとんどない位のリードではある。
しかしその裏には瑞原の牙が研がれていた。七対子のドラ単騎はヤミテンを選択。
ツモれば確定のハネマンで瞬間捲り。出和了りは滝沢からならもちろん捲りの上、脇からでもオーラスマンガン出和了り条件が残る。
もちろんダマテンにすることでほかの人に自由に打たれてしまうデメリットはある。
特にリーチを打てば本来降りていたはずの滝沢に、ダマにしたことで和了りが発生してしまうことが最悪のケースだろう。
それでも瑞原はダマテンならがこぼれ得ると見たのだ。
結果だけ見ればリーチして
裏ドラが乗っていれば、オーラスこの和了りでの逆転はなかったかもしれない。
二度のリーチ判断が、結果に悔いを残した瑞原。どちらも自身で頭をよぎったが故に、インタビューで「難しかった」が自然と漏れ出たのであろう。
一方でターツ選択が結果をもたらし、一度は逆転されるも再度差し切った滝沢。
どちらがトップを取ってもおかしくないくらい、たがいに紙一重の攻防であった。
こんな小さな選択・紙一重の攻防ですら結果には大きく現れる。
この表の持つ大きさ、そして重みに押しつぶされそうになりながら、彼らは細部にこだわり続けるしかない。
ああ麻雀はなんと難しいのであろうか。