
。ここで完全に伊達の手が止まる。

勝又の最終手出しが安全牌のだったので、それまでに切られている牌の愚形回りが否定されている。普通は愚形フォローとして安全牌の
よりも持たれることが多いからだ。
それにより、結果として勝又の手牌は普段より良形率が上がっている。
では鳴かれていない牌も考慮して、残っている筋を数えてみよう。
マンズが全滅、ピンズも単純な形は全滅、残っているのはソウズのくらいだということがわかる。
伊達もここが一番の本命臭いということで……

の方を切ることにした。

実際の勝又は、愚形フォローを先切りしたシャンポン待ちというレアケース。
勝又がカン受けを残していればまた違う未来もあったと言えよう。

開かれた手牌を見て、伊達は

わずかに眉毛を動かした。勝又の手順の逆再生と、この局和了りが取れたかもしれないというほんのわずかな後悔の念だろうか。

続く親番も二件リーチに対して粘りを入れるが聴牌はとれず。

最後は和了りきっての3着キープとなった。

ボーダーまで200とはいえ、残り15戦、まだまだ油断できない状況。あの時ああだったら…… なんて後悔は決してしたくない。
我々の与り知らない四角い宇宙の多元論、この世界での一旦の勝利を掴み取るまで残り僅か。
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