四角い宇宙の多元論。
伊達朱里紗にあり得た
パラレルな世界。
文・渡邉浩史郎【木曜担当ライター】2025年2月27日

第1試合
東家:黒沢咲(TEAM RAIDEN / 雷電)
南家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:勝又健志(EX風林火山)
北家:岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)

【東1局】、

伊達から黒沢へのマンガンの放銃でスタートとなった本日の一戦目。

ドラなしリャンシャンテン、しかもフリテンカンチャンありのところから粘って放銃は「普段ならば降りていたところ」「最近強気すぎた」と本人も述べた通りであろう。
どこまで粘ってどこでベタ降りるかの振れ幅が時期によって変わる、というのは麻雀を打った人なら伝わるのではないだろうか。
「最近粘りすぎてるな」「最近淡白に降りすぎているな」この繰り返しを反復横跳びしていく中で、少しずつ前に進んで行く、いや行けてればいいなと思うのが麻雀打ちの性である。
残り16試合というのも、選手にもファンにも重くのしかかる今日この頃。

伊達は東場、手数こそ放つものの加点に恵まれず。目下ラス争いの状況で南場を迎える。

南場もこの赤1聴牌を即リーチ。
シャンポンのほうがカンより見た目で一枚少ないが、ピンズの下が良しと見たか。

このラス目のリーチに降りてくれなかったのは黒沢。点棒の余裕を盾に、さらなる加点を目指してリーチでぶつけに行く。
伊達の当たり牌を吸収してのこのが
2枚分多くてしかも赤残り。
伊達、絶体絶命かと思われたが……

海底で引き込んだのは最後の! 一番高くなるタイミングでの2000・4000で2着目に大きく近づく!
仮に枚数でカンを選んでいたら、河底で黒沢に12000の放銃だったと考えると身の毛もよだつ上下の差である。
そして次局【南2局】の親番。

下家の勝又のWポンを含む2副露を受けて、
ポンでスピードを合わせに行った伊達。

自身の目から4枚が見えている中、
のを上家からチーできた。これはドラを勝負して
の待ちの良さで勝負……

ではなく、切り! ドラ中膨れ単騎の形に受けた!

自身の打点はもちろんのこと、下家の勝又にドラを打ちにくい兆候があったのだろうか。
一つ思い当たるところがあるとすれば勝又のチーの場面。

勝又がポン確認のためにワンテンポおいてのチーの後、ターツを選ぶまでに普段より間があった。
そこに少しきな臭さを感じ取ったか。ともかくこの中膨れが山に2枚。

一見和了り逃しに見えるこの引きだが、実際は勝又に
チーが入っているため勝又が打ったかはわからないところ。勝又に
は無筋のため、
で
くっつきに受けることも考えたがここも押す。

そしてを持ってくる。本当なら
を切りたいところだが、
はフリテン。ここで伊達は考えて……

を押した! 自身の手がドラを切ってもマンガンになったことで和了りやすさに振り、かつ勝又がまだテンパっていないケースも考慮に入れての選択。

これに勝又がチーを入れての聴牌。
場は完全に沸騰する。次巡、伊達に舞い降りたのは……