サイレント暴君モード発動…攻めるだけじゃない瀬戸熊直樹の“逆境の凌ぎ方”【熱論!Mリーグ】担当記者:渡邉浩史郎

熱論!Mリーグ【Tue】

サイレント暴君モード発動…

攻めるだけじゃない

瀬戸熊直樹の逆境の凌ぎ方

文・渡邉浩史郎【火曜担当ライター】2019年12月10日

本日火曜日のMリーグは、一つの区切りとなる大事な試合だ。

1戦目がレギュラーシーズン90試合のうちの45試合目、二戦目が46試合目と、本日出場する4チームは丁度半分を消化したこととなる。

言い換えるならば、1戦目がレギュラーシーズン前半の「最終戦」、2戦目がレギュラーシーズン後半の「開幕戦」だ。

さて、そんな前半の「最終戦」のスコアがこれだ。

超ロングゲームを制したのはKADOKAWAサクラナイツ沢崎誠セガサミーフェニックス近藤誠一も意地の2着で繋いだが、構図としてはトップのサクラナイツに下位陣が苦しめられた形だ。

チームランキングもご覧のとおり。

セミファイナルでの足切りは7位以下。まだまだ足切りの行方は分からないが、後半戦にむけてこの下位チーム同士の直接対決を制し、チームの勢いに弾みをつけていきたいのは間違いないだろう。

特に現状6位のTEAM雷電は、ここの成績次第で一気に下位チームを突き放し、反撃の狼煙を上げることができる。大事な戦いだ。

そんな重要な後半の「開幕戦」の狼煙上げ役を任されたのは、卓上の暴君・瀬戸熊直樹

少しネタバレをしてしまうと、この半荘も2時間近く続き、日付を跨ぐロングゲームとなった。そんな半荘の中、瀬戸熊はどう立ち回っていたのか。一緒に見ていこう。

2回戦

東家 茅森早香セガサミーフェニックス

南家 沢崎誠サクラナイツ

西家 村上淳赤坂ドリブンズ

北家 瀬戸熊直樹TEAM雷電

【東1局】

まずは瀬戸熊が先制テンパイ。

赤もドラも使っていないとはいえ、両面の役1テンパイ。点棒もフラットな開局では当然リーチの一手だろう。

しかしこのリーチは実らず、親の茅森の村上からのアガリで局を終える。

【東1局1本場】

親の茅森がをポン。

村上がをポン。

それを受けてこの手牌の瀬戸熊。

345が色濃く見える手牌だが、親で昨年の平均打点王・茅森とリーチ超人・村上の二人から仕掛けを受けている。

345にまっすぐ行くならを落としていきたいが、どっちを選んでも通ってない無筋を二つ通すことになる。

もちろん、今の段階で二人がテンパイしていると確定しているわけではないが、少なくとも親の仕掛けに対応して鳴いてきた村上からはスピードが感じられる。というわけで……

だ。

自分の手を高くなる方向に固定しつつ、他家にドラマタギや赤マタギでフーロされない・放銃しない牌を選んだ。

村上のは全て手出しであり、両面固定の先切り以外で当たらないのもあっただろう。

しかしこれが村上に2000点の放銃。これは村上の先切りを流石というべきだろう。

先ほどの牌姿に戻るが、ここでは切りの選択もあったように思う。

恐らくだが瀬戸熊は

・村上の河と切り巡が少し役牌が重め(親の現物のより自分の役牌の残している)であり、役牌バックの可能性もありそうなこと

・親の茅森にこのを鳴かせてしまったら最悪であること

・自分の手が・三色・赤・ドラなどの満貫の仕掛けで押し返す未来があること

・何よりが先ほど述べた理由で切りやすい牌であること

などの理由からを切らなかったのではないだろうか。

一見すると攻撃的に見えるかもしれないが、どちらかと言えば守備的な、他家の情報が出るまで選択を先延ばしにする柔軟な一打のように感じた場面であった。

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