サイレント暴君モード発動…攻めるだけじゃない瀬戸熊直樹の“逆境の凌ぎ方”【熱論!Mリーグ】担当記者:渡邉浩史郎

今回は放銃に回ってしまったが、瀬戸熊はこうした自分が後手であったり、アガリ目が薄いと感じたときには徹底的に守備に回る固い打ち手である。

東2局1本場も、親の2フーロにノー面子から1牌も押さないのは当然のことだが……。

東3局、沢崎がポンしてこの清一色テンパイ。前巡にドラのを合わせ打てたことで、結果的に残したが少し清一色の迷彩の役割を果たしているか。

これをすぐにつかんでしまう瀬戸熊。ここは……

さっき二枚切れたを打つ。安易に安牌を残して危険そうなを先打ちしない。というかこの巡目ではもはや先打ちではないという冷静な判断。

そこに飛んでくる茅森のツモ切りリーチ。

そして瀬戸熊の最終手番。を切ればテンパイという形になってしまう。リーチの茅森の筋だ。

場を見つめる瀬戸熊。ここは……

降りだ!!

テンパイ料も大事な局面。最終手番であればを打つという人も多いのではないだろうか。

冷静に局面を牌譜で見てみよう。

(牌譜は、トガシの麻雀X研究所様からいただきました)

※暗い牌がツモ切り、明るい牌が手出し。沢崎はポンして打

ポイントとしては主に3つだろうか。

 

Ⅰ沢崎の仕掛けをどう見るか

Ⅱ茅森のツモ切りリーチをどう見るか

Ⅲ村上の押し→手出しをどう見るか

 

Ⅰについて

沢崎は一見してピンズの一色手に見えるが、最終手出しが何なのか分からない。おまけに茅森のツモ切りリーチに対して、安牌しかツモ切っておらず、本手か否かもわかりにくい。

しかし沢崎の手出しツモ切りから、マンズのブロックはほぼ全滅。ソウズも瀬戸熊の目から見てほとんど全滅している。

沢崎との対戦経験豊富な瀬戸熊からすれば、ピンズをぼかすためにを引っ張ったことまで読めていたのかもしれない。

 

Ⅱについて

注目すべきは茅森の最終手出しの前の打だ。

と序盤に中張牌を切っていての手出し。これは多くの場合において、手牌の中に周りを持っていることを意味する。

はドラであるため、打点向上のために置いておいたであろう事を考えると、やはり実質的な最終手出しの周りはかなりきな臭い。

「仮にカンだったりとなにかのシャンポンだったら筋に引っかかっているからドラ切りリーチorドラがポンされないのを確認してから一巡後にツモ切りリーチするんじゃないの?」と思う方もいるだろう。その辺には人読みの要素も加わってくるため、一概にどうとは言えない。ここで重要なのは、「茅森が周りを持っており、周りで待たれている可能性が大いにある」という手牌進行上の事実であろう。

 

Ⅲについて

手出しから、親の村上の押しはのワンチャンスであったことが分かる。

また、村上がを先に切っていることから、このは相当出来面子からの切りであることが分かる。

そのうえで村上がテンパイしている場合というのは「茅森のリーチを受けて、切りでテンパイだがリーチをせず。最終手番でを引いてスライド」というパターンのみであろう。

かなり可能性が低そうだが、一応は通っていない。他に切らない理由とあわせてくらいの考えでいいだろう。

いかがだろうか。がテンパイ料の為では打つに値しない牌だと判断した瀬戸熊の思考としてはこういったところだろう。

この局はノーテンでこそあるものの、見事に失点を抑えた。

開かれた手を見てこの表情。流れ派の瀬戸熊だが、もしかしたらこの一連の局で何かを感じ取ったのかもしれない。

【東4局1本場】

せっかく放銃を避けて迎えた親番だったが。

先制したのは村上選手。三面張待ちで打点も十分だ。

リーチを受けた時点でこの手牌の瀬戸熊。追いつけるか……

うまく回りつつこのイーシャンテンまでたどり着く。だが……

次巡持ってきたのは無情にも当たり牌の。一旦は筋ので回るも……

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