内川幸太郎、
悲壮の只中に。
文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2025年3月7日
「ポーカーフェイス」
という言葉があるように、勝負事に臨むプレイヤーは気配を悟られぬよう感情の起伏を表に出さないことが良いとされています。
しかし、麻雀の世界には気配を表に出すことをはばからない打ち手がたくさんいます。
有名なのが最高位戦のレジェンド、金子正輝プロ。

2019年に行われた麻雀最強戦のワンシーンから。
麻雀に集中するあまり、自分でも気がつかないうちにネクタイを噛み締めていました。
その姿の面白さが先行したせいか、この場面を記憶されている方は多いかもしれません。
が、ここでわざわざ当時の映像を引っ張り出してきたのはそれを言いたい訳ではありません。
人間には自分がどう見られているかという「自意識」というものが常に働いているらしいのですが、それすら邪魔になるほど麻雀に集中している金子プロの姿に、私は尊敬の念を抱いたんです。
全てをかなぐり捨てて麻雀に入り込む。
そんな人間臭い打ち手に私は魅力を感じるのですが、皆さんはいかがでしょうか?

第2試合
東家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
南家:二階堂亜樹(EX風林火山)
西家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:鈴木大介(BEAST X)
レギュラーシーズンも各チーム最大で残り11試合。
この最終盤で本日のカードはボーダーラインをめぐる天王山と言えるでしょう。

サクラナイツと風林火山はここでポイントを伸ばし、ABEMASへの挑戦権を得たいところでしたが、第1試合ではポイントを伸ばせず、逆に点差が離れてしまいました。

ここでサクラナイツが投入したのは内川幸太郎。
彼もまた、感情を包み隠さず表に晒す人間味溢れるプレイヤーです。
内川に課せられたミッションはただ一つ。
ABEMASとの差を詰めること。
可能ならばトップをもぎ取り、1戦目に堀が喫したマイナスを返上できたら言うことはないでしょう。
しかし、思うように事は運びませんでした。
東2局1本場。ドラは。

早い巡目に伊達がをアンカン。

新ドラは。

前巡にダブを暗刻にしていた亜樹に2枚乗り、卓上に荒れ模様の風が吹き抜けます。
ここで内川の手牌をのぞいてみましょう。

チートイツのイーシャンテン。
現状ドラはありませんが、リーチを伴うと場合によっては破壊力十分の手になります。

ここは時間を使って、

打。
このを亜樹がチー。


次巡、

を切った亜樹の手元に注目が集まります。
そして、程なくテンパイ。

カンドラのと
のシャンポン待ち。
ここから、内川が切ったをチーして食い伸ばし。