昨シーズンまでだと河に字牌が続け様に並んでいただろうと振り返った土田プロ。
「考えて打っているなっていう感じですよね。たまたま当たりましたけどね。」
打ち手の腕の差は字牌の扱い方を見ればわかる、とは土田プロの論。
その論を借りれば、岡田は昨シーズンよりも明らかに成長を遂げていると言えるのではないだろうか。
迷いのない手順、そして悲劇の始まり
岡田にチャンスが巡ってきたのは東3局1本場。ドラは。
西家の岡田の配牌がこちら。

自風のがトイツ、さらに赤2枚が使い切りやすい形で手に組み込まれた。
アガることができれば高打点が約束されたような格好だ。

2巡目にたろうがを切り、これを鳴くことができた。

「ここは打でもいいんですけどね。」
を切り出していった岡田に対して、土田プロとしてはいささか不安げな印象を抱いた。
「役牌を鳴いた時、他の字牌を重ねればもっとスピードが早くなるので…。」
と、土田プロはをもう少し手に残す手順を推奨している。
そして、次巡。

ドラ表示牌のをツモった岡田だったが、いささかの迷いもなくこれをツモ切りとした。
「このでドラ周りを膨らませようとしないところが良いですよね。」
と土田プロが述べているように、ドラ周辺の両面待ちは他家に警戒されやすいことからあまり良い受けとはなりにくいだろう。
ドラを引き入れた上、さらにを2枚引いてくる、もしくはそれが鳴けるという都合の良い願望に身を委ねない。
打はそんな岡田の意思表示のように見える。

後に岡田はドラを引いてくるが、これもサラリとツモ切り。
「ドラを抱えてなんかを切っていくとおかしくなっちゃうんで、これはこれで良い。」
という評価。
土田プロは麻雀を「相手に考えさせて脳を疲弊させるゲームだ」と形容する。
相手を騙すのではなく、相手に「考えさせる」ことが大事。
考えさせて考えさせて… やがて脳のリソースが一杯になった打ち手は自分から崩れていくのだそうだ。
この場面、と
がツモ切られている河を見て相手が何を思うか?
岡田の思考にそんな思惑があるのかはわからないが、奇しくも土田プロの手順と重なる部分があるのは興味深い。
「この辺が岡田の成長した証ですよね。」
とは土田プロ。こんなにベタ褒めなのも珍しい。
かくしてドラの周りをスリムに構えた岡田。

残したを重ね、
を軸にしたリャンカン形に手が変化。
これでしっかりと満貫の形が見えた。
が。
定石とも言える手順どおりに手を進めたからといって、全てが成就するとは限らないのが麻雀。
「リーチ。」

カンを引き入れた優から発せられる勝負の発声。
役もドラもないが、親権を維持すべく前に出た。
直後、下家の松本。

優の宣言牌を合わせ打つ格好でテンパイが取れた。
果たしてこのシャンポン待ちで勝てるのか否か。
松本はしっかりと時間を取ってからを横向きに打ち込んだ。
続けざまに2軒のリーチを受ける羽目になった岡田。

手順で残していたソーズのリャンカン形。
これをチーして出ていくのは宣言牌のスジ。さらには両者の一発を同時に消すことができる。
ならば、と前に出るもこれが優の注文にハマってしまう。

さらには。
