単に「ツイていた」
わけではない!
〜本田朋広が混戦を
制した選択を振り返る
文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2025年1月10日

第1試合
東家:菅原千瑛(BEAST X)
南家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
西家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:本田朋広(TEAM RAIDEN / 雷電)
12局中、流局が4局。対局時間は2時間に迫ろうかというロングゲームとなった第一試合。
トップを獲ったのはTEAM雷電の本田朋広選手でした。

対局後の第一声は
「ラッキーでした。ツイてたなと思います。」

と、やや控えめなコメントでしたが、南3局のアガリで抜け出すまでは神経がすり減るような接戦を演じていました。
この観戦記では、混戦を制するに至った道のりを振り返ります。
まずは東2局1本場。ドラは。

役牌のがトイツ、ドラが両面ターツで組み込まれた手牌をもらいました。
ここにペンをツモって1メンツが完成したのですが、他のターツに目をやるとカン
やカン
が欲しい形。
3と7の牌は「尖張牌(センチャンパイ)」と言って、シュンツ作りにとても重宝される牌。みんなが欲しがる牌なので、ここをツモやチーで埋めるのは一般的に難易度が高いとされています。
対して手牌がまとまっているのが伊達。

2巡目に両面ターツが実質3組に増えました。
しかも、いずれも端にかかる待ちになる良型の両面ターツばかり。
速度感はこちらが上のように見えます。
さらに伊達は、

一気通貫が見えるを引き入れてさらに良い形に構えましたが、ここから伊達のツモが停滞してしまいます。
代わって手が進んでいくのが本田。

まずはをツモってイーシャンテン。

さらにが
と入れ替わって678三色へとスライドに成功します。
そして次巡。

をツモ。
を仕掛けた際のことを考えて三色を諦め、手の中に
を残しました。
三色に固執したり、切りでタンヤオへ渡ったりすると、もしかしたらこのゲームのトップはなかったかもしれません。
そして、この局の決め手となったのはこの場面。

ご覧の形にをツモって、あなたなら何を切りますか?
もしも、のポンテンを狙いながらイーシャンテンをキープする
に手をかけてしまうと、アガリの可能性はものすごく低くなっていたことでしょう。

本田の選択は打。
河にが2枚切られていることもあって、マンズにアガリがないと判断しました。
ただ、このままではの2度受けの形。
いずれにしてもアガりにくい形であることは言うまでもありません。
この日、本田が自分で語っていたように「ツイていた」とするならば、ここで、

多井からタイミング良くが切られたことではないでしょうか。
本田はこれを仕掛けて、
