デビュー戦の苦い記憶を超えて
下石戟、南家で掴んだ会心の勝利
文・宮水さくら【木曜担当ライター】2025年10月30日
第1試合
東家:阿久津翔太(KADOKAWAサクラナイツ)
南家:下石戟(BEAST X)
西家:黒沢咲(TEAM雷電)
北家:永井孝典(EX風林火山)
個性と実力がひしめくこの舞台で、彼がデビューを果たしたのはわずか数か月前のことだった。
その初陣は南家で迎え、結果は悔しい4着。
牌に恵まれなかったわけではない。むしろ、随所に光る判断や柔軟な押し引きも見られた。
それでも、勝負の世界では「結果」がすべて。
本人にとっても、そして新チーム・BEAST Xにとっても、あの日は苦い船出となった。
そして迎えた今回の一戦。
奇しくもそのデビュー戦と同じ「南家」からのスタートだ。
まるで運命に試されるかのような座順の中、下石は静かに牌に手を伸ばす。
あの日の悔しさを糧に、再び南家からのリスタートを切る。
チームBEAST Xは現在8位。
ここまでチームは思うように流れを掴みきれていないが、下石の一勝が大きな転機となる可能性は十分ある。
新加入選手としての責任、チームを勢いづけたいという想い、そして何より自分自身へのリベンジ。
そのすべてを背負い、南家・下石戟が卓に臨む。
東2局
下石の親番が回ってきた。
親番で一アガリし、ここで流れを引き寄せることができるか。
カン
を引き入れた下石は、![]()
待ちで先制リーチを放つ。

その後すぐに
をツモ、リーチ・ツモ・ピンフ・ドラ1の2600オール。
東3局
下石はイーシャンテンの形から
をアンコにし、![]()
待ちでテンパイを入れると、再び先制リーチ。

リーチ・
・ドラ1、高目ならイーペーコーの8000点という勝負手だ。
だがここから激しい展開となった。
親の黒沢がカン
をチーしてチンイツのイーシャンテン。
永井はタンヤオの仕掛けのため![]()
でしかアガれないが、タンヤオドラ3、8000点の仕掛けでこちらも十分勝負手だ。
三者三様の強烈な手牌がぶつかり合う中、最後に勝負を制したのは下石だった。
黒沢が
を掴み、下石に放銃。裏ドラも1枚乗り、8000点のアガリに。
東4局
続く東4局も止まらない。
カン
を引き入れて![]()
待ちのテンパイ、下石の先制リーチが入る。

リーチ・ピンフ・ドラ1、3900点の加点。
落ち着いた表情の裏で、確実に勝利への階段を上っていく。



















