「このツモがいいね」と牌が言ったから11月4日は永井記念日【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 11/4 第2試合】担当記者 カイエ

激戦を終えたばかりの深夜の時間帯にも関わらず、永井選手本人がその意図を語ってくれた。

永井「この局、僕はトップ目で局消化したい。親の萩原さんが【5ピン】【8ピン】で早そう。渋川さんはマンズのホンイツっぽく見えて、この瞬間は【白】のトイツは少なくて、打点を作らせたくない。竹内さんはわからないけど、鳴かれてツモられても2000点の失点で局消化は良し」

永井「特にラス目の竹内さんにはまっすぐ進めて欲しいので、ドラの【白】を切って場を軽くしたかったのが1番の理由です。萩原さんに鳴かれても絞れますし」

永井「【白】をここで絞ってしまうと、萩原さんのリーチで全員降りる展開になりそうと思いました」

結果は、親の萩原がポン。
さすがにベストな展開とは言えないものの、これも永井の正確な読みの想定内。
上家の立場から「絞る」というミッションが明確になった。

状況に応じて様々な可能性を考慮し、しっかりと「備え」ること。
まさにこの準備こそが、プロの繊細な業なのだ。
それは、運を迎える準備でもある。

一気に場に緊張が走った。
萩原自身、ドラから鳴けるとは思わなかったと終局後に語っている。
【發】から仕掛けての親の満貫構想だったが、完全に全員から絞られてしまい、手が動かない。

結果的に、ドラは「鳴かされた」のだと、萩原は悔しそうに、どこか遣る瀬無さそうに述懐した。
むろん、これをスルーする選択はない。ただ、場が膠着してしまった。
永井のドラ切りのタイミングが絶妙だったのだ。

それでも終盤、元太に執念のテンパイが入る。
この粘りも、紛れもなくプロの業。
萩原への安全牌を慎重に選びながら、辿り着いたテンパイ【2ソウ】【5ソウ】【4ソウ】は、しかしフリテンだ。


もちろんラス目につき、思い切ってリーチを敢行する手もある。

惜しくも幻の「一発ツモ」となった700・1300のアガリ。
2~4着がまだまだ接戦で、親にドラポンが入っている局面でのフリテンリーチは、さすがに「やりすぎ」という判断だろう。守備型で、抜群の安定感を誇る元太の、これがベストバランス。自分の麻雀。

 

南3局1本場

渋川のひとりテンパイを経ての、ラス前1本場
元太、好配牌からの、

6巡目先制リーチは、カン【3マン】待ち。
解説の欲張りたろうさんは「余裕で」【2マン】切りテンパイ外しと明言。
このあたりの雀風の違いは興味深いところ。

10巡目、渋川。

親を繋ぐことができれば、まだまだトップも目指せる局面。
形は【3マン】切りだが、

同じく通っていない【8ピン】をチョイス。
これには両解説者も驚きと感嘆の声。

元太のリーチはターツ選択もなく、また局後のインタビューで渋川が明かしたように「元太が気持ちよく字牌を切っていなかった」という心理的な読みも加味し、愚形である可能性が高いのではないかと判断。それなら3・7の尖張牌は切りにくい。3枚見えの【9ピン】を頼りに、【8ピン】を切ったのだった。

ツモ番あと1回のところで、ギリギリ渋川が追いつく。
元太の当たり牌【3マン】を止めての、見事な【5ソウ】【8ソウ】待ちリーチは、満貫から。
人事を尽くして天命を待つ。

しかし、スーパープレイが必ずしも報われるとは限らないのが、麻雀の非情なところであり、面白いところ。萩原のチーにより、止めた最後の【3マン】が渋川の手に。

リーチ・タンヤオ・ドラ1。
渋川、無念の5200点放銃。トップは遠のき、ラスの恐れが出てきた。
思えば、東発の6枚残り【1ソウ】【4ソウ】も、愚形【3マン】の放銃で敗れたのだった。

 

南4局

オーラス。渋川と2着元太との差は、ちょうど8000点。ラス目の萩原との差は、わずか500点。

ドラが【東】で、高打点も期待できない手牌から2枚目の【3マン】をチー。この急所だけは鳴いて、最悪のノーテンは避けねばならない。点棒の距離が近い、ラス回避の方を重視した。
ところで、役は678の三色か役牌バックか。

しかし、渋川は【南】切り。
虎の子のション牌の役牌を1枚リリース。678の三色に不要な【8マン】切りの一手に思われたが。

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