「このツモがいいね」と牌が言ったから11月4日は永井記念日【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 11/4 第2試合】担当記者 カイエ

次巡、嬉しい【6ソウ】をツモって、さすがに今度こそ【8マン】切りか?

【北】とした。
三色と役牌の「くっつき」を狙わずに、【5マン】【8マン】引きからのタンヤオ移行を目指す。
この構想は、なかなか思いつかない。

すぐに【北】が重なる。痛い!
だが、ドラ表示牌にすでに1枚見えている【北】バックより、可変性の高い食いタンで勝負としたのだ。

その後、【7マン】【5マン】【7ピン】と三連続で有効牌を引き、手品のような【6ピン】待ちテンパイが完成。
チームメートの堀慎吾や同団体の田内翼からイジられようと、

タコ鳴きからでも、好きな食いタンをアガりきった!
渋川、300・500のツモは、値千金のラス回避。

勝敗を分けたのは一牌の後先や「運」かもしれない。
しかし、決着に至るまでの思考の道筋は、運の介在しない人智の領域であり、ロジカルであったり構想力であったりするのだ。

そして、この男。
頼もしき遅咲きのスーパールーキーが、今日も大仕事だ。

あまりにも素晴らしき同日連勝。
ひとりデイリーダブルで、留守を預かる陣営に大大勝利の戦果を持ち帰る。

凱旋する楽屋にチームメートはいなくとも、
多くの炎護舞隊とチームの絆とに背中を押され、会心の勝鬨をあげた。
今日は永井が強かったと、皆に認めさせた。

「勝又さん、やりましたよ!」

明日退院する軍師への、最高の見舞い品となる勝利を届けた。
いや、戦利品か。

知名度の低さや大舞台での場慣れ不足などから、当初はその活躍に懐疑的だった視聴者も、今日という日を境に認めざるを得ないだろう。
リーグトップの5勝目をあげ、個人MVP首位に躍り出た、この驚異のシンデレラボーイを。

永井孝典
その人柄や明るさ・イジられキャラで、関わりある誰もが彼のことを好きになるのだという。

【FACES / Vol.71】永井孝典~掴め麻雀ドリーム!無名の麻雀プロが進む先には、人生変えちゃう一牌がある~ – 最高位戦日本プロ麻雀協会

個人的にも、一度くらいしか会って言葉を交わしたことのない筆者の質問にも、懇切丁寧に答えていただき、頭が上がらない。今日くらい、勝利の美酒に酔い痴れて、最高の気分でバタンキューしていても咎める者などいやしないだろう。
本当に、麻雀を愛し、麻雀に真摯な人なのだなと思う。惚れてまうやろ。

そんな「仁(ニン)」に、牌もまた惚れ込んで、多少の「運」へと変換されながら、今日は永井のもとに集結した。

この戦場では「運」と付き合う覚悟のある者だけが、プロを名乗る。
時に、麻雀の不条理や理不尽は恐怖だ。
それを払拭するために、データや統計を駆使し、慢心せず、常に準備を怠らない者がいる。
今宵の幸運の女神は、よく笑い、謙虚なる人格者に微笑んだ。おめでとーさん。

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