永井孝典を止めろ!狩る側へと変貌した東城りお【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 11/7 第2試合(麻雀LIVEチャンネル)】担当記者 小林正和

東城りお
「ポンッ!!」

役なしカン【4ソウ】テンパイを入れていた東城が【白】を一声。そこから待ちを単騎に変えていくと

ハイテイ【白】
2,000(+2,000)

“猛将の風を止める”べく、永井から【9マン】単騎を仕留めるのだった。

仕掛けた盤面がこちら。

三軒リーチに挟まれたこの状況。皆さんは、この瞬間に「ポン」の声は出ますか?

【3ソウ】は全員に安全。
でも、【5ソウ】は優には通っていない。
鳴いたあとに、ちゃんと安全牌は足りるのか。
このまま進めば、ハイテイは誰の元へ行くのか…。

🎤試合後のインタビュー
「私、ちゃんと試合に入り込んで戦えてる!」

いわゆる“打ててる”ってやつだ。
点数はそこまで大きくないものの、自分の感覚がきちんと噛み合っている時の手応えは、何よりも大きい。

東城にとって、このアガリは好調さをそのまま形にしたものであった。

心理と主導権──優・東3局での二発──

東3局に東城から親のマンガン12,000を仕留め、一歩抜け出した親番の優。ここからはもう、卓上の“空気”そのものを握りしめていく。ここではその流れを形作った2局を紹介したい。

1 :東3局1本場

まずこちらの配牌は。マンズのホンイツも見えるような形だったが…

孤立の【南】から切り出し、手をまっすぐ進めていく!

振り返り配信では、もちろん自然とホンイツになれば狙っていくが無理はしないと。この局は、最速のアガリを優先して親を維持する事であった。

狙い通り、最速でカン【7ピン】のテンパイに辿り着く。そして数巡後、【2ソウ】をツモったところ。

本来なら、素直に場に捨ててある安全な【2ソウ】をツモ切っておけばいい場面。だが、優は【5ソウ】を“あえて”スライドさせて場に放った!

もちろん、後で安全な【2ソウ】と入れ替えられるようにしたり、ツモ切りの道中で切られた牌(例えば 【8ソウ】とか)を“リセット”する意味合いもある。

しかし、ここでの意図はそこではない。向けられた先はトイメンの永井、9巡目にツモ切られたダブ【東】に対してである。

実は、この【東】をツモ切った際に永井は

まるで優に

「イーシャンテンでございまっか? どないでっしゃろ?」

と同じ団体の先輩に何か語るかのような視線を送っていた。

その問いかけに、優はそっと視線で返す。

「(ずっとテンパイしてたけど…)じゃあ今、テンパイしたってことでいいよ。来れるなら来てみろ!」

あの場面の【5ソウ】は、ただのスライドじゃない。振り返り配信でそう語った。

高宮と東城はすでに受けていると読み切り、まだ前に出てくる可能性のある永井…


一人に対してのメッセージだったのである。

その卓上での見えない会話は、しっかりと伝わっていた。

【5ソウ】がすでに4枚見えと、この局に限れば【7ソウ】は比較的“安全寄り”の牌。本来なら、そこまで怖がる必要はないはずだ。

しかし、そのメッセージが向けられた永井からすると話は別だ。

困ったように眉を寄せ、そっと手を引く。
オリである。

時に、たった1枚の手出しだけで、相手の押し返しを止められることがあるのが麻雀。つまり点数だけではなく、心も動かせるゲームだということだ。

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