親がダブ
を仕掛ける中でも、「ここはアガリ局だ」と判断すれば、迷わず自らドラを切っていく。
東3局1本場では
この形から、守備にも使える
をあえてトイツ落とし。2牌ぶんスペースを空けて、手を前へグッと進める。
つまり、「アガリに行く」と決めた瞬間だ。
以前なら、
や
みたいな“濃い牌”をこんなふうに浮かせて持っていられなかったかもしれない。
でも今は、過去2年間の経験が優しく背中を押してくれる。そんな打ち方に見えた。
残した
は、その後しっかりとメンツとなって応えてくれる。
もちろん、課題もあった。
テンパイした瞬間の中田の仕草。
(ヤミテンの方がいいのかな…? リーチ行くなら今…? 待ちはペン
? シャンポン…?)
頭の中をいろんな選択肢が駆け巡り、つい“ちょっとだけ”時間を使ってしまう。
他にも昔の自分が出てしまい、アガリに行ける所を受けてテンパイを逃すシーンもあった。
でも、今は失敗もちゃんと自分の成長の“栄養”になっている。名前の花奈のように行ったり来たりしながら、少しずつ花を咲かせていく途中なのだ。
この日、中田は今季初めてのラスとなってしまう。
それでも、下を向いている暇なんてない。そう思わせる理由が、彼女にはあった。
胸の奥でずっと残り続けているあの問いかけ。
かつてのキャプテンから言われたあの一言。
「今の麻雀で大丈夫か?」
その言葉に、中田は反射的に「大丈夫です!」と強がって返してしまった。
今思えば、それは優しさだったのに。そして、その自分の強がりを後悔している。
「猿川さんに申し訳なくて…。でも、成長した姿を見せたいんです。」
キャプテンの背中はもういない。でもあの一言があったから、今の私がいるのは確かだ。
そして今は、その背中の代わりに、支えてくれる仲間がいる。
この日のラスで、ずっとまとわりついていた“見えないプレッシャー”は落ちただろう。
中田花奈の成長物語は、まだまだ始まったばかりだ。
熱い気持ちを抑え、魂の差し込み
アガリは東場の2回だけだった。
押したい、行きたい、決めたい。16戦ぶりの“あの瞬間”が近いのは、誰より本人が分かっている。
それでも、何度も何度もブレーキを踏んだ。手が伸びそうになるたびに、自分を落ち着かせ、胸に手を当てるようにして。
オーラス・南4局1本場
アガリトップの萩原はここから
を鳴く。
特に変わった事ではないが、本人はこの局を悔やんでいた。
最後の最後でブレーキが効かなかったと。
萩原聖人
「少し焦っちゃいましたね。鳴きはないなーとは思ってたのに。この局は反省しています。」
“らしい”アガリもあった。
“らしい”放銃回避も積み重ねてきた。
だからこそ、最後の最後まで、普段の自分で締めたかったのだろう。
ほんの少しだけ、ユニバースのみんなにトップを届けたいという情熱が前に出てしまったのだ。
この後、親の阿久津の仕掛けが入り
すぐさま、中田の仕掛けも。
しまいには、茅森のリーチまで飛んできてしまう。
オーラスとは思えないほど、三方から一気にプレッシャーが押し寄せてくる展開。
「やっちまったなと。」














