終点のスタジオに猛者集合
吉永和生、ハナ差の逃走劇
【D卓】担当記者:中野巧 2025年11月22日(土)
控室の外まで聞こえてくる話し声とシャッターの音。
11月22日、スタジオは最強戦という名のお祭りだった。
各地方の厳しい予選を勝ち抜いた者たちが集っているとは思えない、和やかで楽しい雰囲気にあふれていた。様々な地方で開催されているアマチュア予選に、旅行を兼ねて各地方で参加する者も少なくないという。その旅行の終点が、この最強戦スタジオなのだろう。
参加選手はほとんどが、特にD卓は全員”いい大人”(婉曲表現)だからこそ、みなが一種の刹那的な1試合を全力で楽しんでいた。
この観戦記は少しでもその楽しい思い出に添えられるよう、各選手1名ずつ振り返ってゆく。
D卓メンバー
東家:かめんたん(最強戦リーグ最強位)
南家:焼肉定食。(南関東最強位)
西家:山部正人(全国アマチュア最強位)
北家:吉永和生(西東京最強位)
4着:お祭り男 山部正人
「ほんと、ずっと楽しかったです」
「昨年アマチュア最強位になってから今日まで、最強戦を楽しみ続けたのでは」という問いの回答であるが、この試合を4着で終えた直後でも満面の笑顔で答えた。
山部といえば昨年、最強戦で勝ち進み、憧れの佐々木寿人との対決は記憶に新しい。彼の夢はここから今日まで続いているのだ。
東1局
これまでアマチュア予選など数多くの経験を持つ山部だからこそ、という局だった。
山部はターツも足りていない配牌から1枚目の
を仕掛ける。普段とは違うスタジオ内でいつも通りの麻雀は、プロでもなかなかできない。また見られている意識から、手を狭めて放銃を恐れ、この手からゆったりとタンヤオやピンフを狙って打ってもおかしくないからだ。
このとき親のかめんたんは序盤から萬子、ソーズを見切りピンズの一色手でメンホン、一通、ダブ
ととんでもなく高い手の1シャンテンだった。この手が実ると、他3名はかなり厳しい戦いになっていた。
山部はかめんたんがピンズを仕掛け、2枚切れとはいえ
を2枚手出ししてきてからもピンズを切って攻める。佐々木寿人を思わせるチームがらくたの「鳴いたらオリるな」精神なのか。結果、山部が1000点のロン。見事、相手の勝負手をすり抜けるアガリを決めた。
東2局
親の焼肉定食。がドラの
を2枚持つ好配牌。一発勝負のトップ取り麻雀で親の満貫はかなり大きい。対して山部はペンチャンが2つ残った2シャンテン。打点は望めない。
5巡目にテンパイも、即リーチはせず。なぜなら
を引くとタンヤオと三色がついて一気に打点が見込めるからだ。
ただ下家の吉永が
、
と立て続けに仕掛け、もう猶予がないと感じた山部がツモ切りリーチを打つ。ドラの
も見えておらず、一色手が下家にいるため、リーチを打つことで無防備になり、自分はリーチのみで打点も安く怖さしかないリーチだ。
しかし、一色手の吉永に絶対にドラの
を切れないかめんたんから暗刻の
が打たれ山部のアガリに。
は山部のリーチに
が切られており、筋になっていたのと
が吉永に鳴かれておらず、自分で3枚使っているためシャンポン待ちもない、現物もないため仕方のない放銃であった。
東3局
連続アガリで迎えた自身の親番。ここで山部は相手の裏をかく第一打でダブ
を切った。これを受けた子3名は山部を警戒せざるを得ず、手を狭めてでも安全牌を抱えながらの進行になってもおかしくない。この一手をこの状況でできるのは、1年間アマチュア最強位を楽しみ続けた山部だからか。このとき、わたしは「この作戦が成功したら山部が完全に場を支配したこととなり、山部が勝つ」と思った。
このあとダブ
を2枚引き、それでもチートイツでテンパイし先制リーチを打つ。しかしドラを2枚持つ吉永に追いかけられ、一発ツモでハネマンの親被りとなった。その後は手が入らず4着で試合を終えた。
山部は選手全員と出演者複数と写真を撮っており、その楽しみっぷりとシャッターを押した数は一番だった。すぐ来年この場に戻ってきそうである。過去46店舗の予選に参加した彼なら、あり得る。
3着:かめんたん 会場を最も沸かせた男
3年前にMリーグを見たことがきっかけで、約5年ぶりに麻雀を打ち出したかめんたん。
これまで仲間打ちが多かったが、オクタゴンに通いだしてから、最近の麻雀を学び、取り入れるように。その結果、去年の1月にはRMU主催の第2期littleチャレンジカップで優勝、まだ参加2回目のクタゴンリーグで優勝するなど実績を残している。
今日はかめんたんが、この会場をもっとも沸かせることになった。














