耳を澄ませば聞こえてくる──多井隆晴、最後は伝家の“あれ”──【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 11/28 第2試合(麻雀チャンネル)】担当記者 小林正和

緊急避難とばかりに、【白】のみカン【7ソウ】のテンパイを取ると

そのテンパイを成就させようと、仲林は【3ソウ】【2ソウ】と援護していく。

そして、その援護がなかなか決まらないとみるや否や

トップ目の醍醐も、少しばかりのリスクを背負って、援護待ちのタンヤオのみ【2ピン】【5ピン】待ちテンパイへと手を進める。

仲林も、本来ならトップが偉いルールなのにトップに差し込むなど、決して好んでしたい行為ではない。

しかし、この局面では三者の利害が見事にも一致した。迷いもなく、【5ピン】を醍醐へと献上していく。

こうして東場は、誰一人として決め手を掴めず過ぎていった。

そんな展開が続いた東場だったが、風の音が変わり始めたのは南場に入ってからだった。

そして、その微かな変化を聞き逃さなかったのは…

多井であった。

 

南1局

ドラの【白】をギリギリまで手の内に抱え込み、タンヤオ【4ソウ】【7ソウ】 テンパイを取った瞬間にようやく手放す。

そして、この試合で初めてとなるマンガンツモを決め、一気にトップ前線へと浮上すると

南3局1本場──
この試合の最大となる山場が、ついに姿を現した。

解説・朝倉
【發】は切らないと思いますが、【5ソウ】もあまり機能してないように見えますね。となると…。」

その前フリは、多井には届かない。

多井は ソウズで3メンツ、あるいは2メンツ+1雀頭までを遠くに頭の中で描いた【5ソウ】残し。そのための選択は打【8マン】だ!

そして、その構想に応えるように【4ソウ】がやってくる。この局、途中から多井の思考は

「ソウズの上で勝負しようと考えてましたね。」

と試合後の振り返り配信で、そう答えていた。

一方で

こちらは2,000点差で多井を追いかける2着目・醍醐の手牌。

解説・朝倉
「点数がなければ、もちろんマンズの清一色を強く見たいですが、この点数状況ならば無理せず進めますかね…。」

その前フリは、醍醐に届く。

ここはタンヤオやリーチ手順となる打【9マン】だ!

醍醐
「この局はとにかくアガリ逃しが一番痛い。【西】の重なりも重く見て【9マン】切りになりましたね。」

そして、しばらくして引いた ツモ【9ピン】でターツ選択の局面。

醍醐は迷わず、カン【8ピン】のターツを残す打【1マン】とした!

そこまで多くの情報があったわけではない。せいぜい、仲林の初手【9ピン】が一つの材料になる程度。裏目の【2マン】を引いてもやり直しが利く自然な一手だろう。

だがしかし、後になって振り返ると、ここが分岐点の一つだったと気づかされる。

終盤になっても【8ピン】は顔を見せない。そこへふっと落ちてきたのは、1枚切れの【東】だった。

醍醐の手が止まる。

誰もリーチしていない。
誰も仕掛けていない。
特別、危険な匂いなど無い牌。

しかし、

選んだのは、手牌を崩す【6マン】であった!

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