技のデパート森山茂和、
近藤誠一へ繰り出した
「アトミックシェイクハンド」
【A卓】担当記者:千嶋辰治 2025年12月14日(日)
東1局で1,000-2,000を先制、
東2局1本場では高め一気通貫を見事に仕上げて2,000-4,000のツモアガリ。
Mリーグでもおなじみ、徹底した攻めっぷりで卓上を制圧する渡辺太が序盤をリードした。
太は「攻め屋」とは言え一か八かの勝負を多用する打ち手ではなく、点棒を持った後の立ち回りには定評がある。
そのため、一人30,000点代に突き抜けたところで勝ち抜けの1議席を既に手にしたと思われたが、まさか敗退の憂き目に遭うとは私は思いもよらなかった。
ファイナル2nd Stage A卓。
突風が卓上に吹き荒れ、打ち手を翻弄する。
東家:森山茂和(日本プロ麻雀連盟)
南家:近藤誠一(最高位戦日本プロ麻雀協会)
西家:藤崎智(日本プロ麻雀連盟)
北家:渡辺太(最高位戦日本プロ麻雀協会)
・一色手に執念を見せた「手役アーティスト」
対局後、森山茂和は語った。
ダブ
、ドラの
、さらには
までが手に入った東1局。
いきなり勝負の手をもらった森山だったが中々手が進まず、前述のとおり太の1,000-2,000によって大物手は封殺された。
「両面を鳴いて安くアガるのは嫌なんですよ。だから、そのくらいじゃ許さんぞ、と思って。」
太から切られた
を悠然とスルーした森山。
ホンイツドラ2の12,000くらいでは満足できなかったらしい。
ということは、狙う獲物は当然「それ以上」である。
東4局。ドラは
。
冒頭に紹介したように、太が一気通貫を仕上げて意気揚々と親番を迎えたところである。
太の配牌には大物手の香り。
さらに加点して盤石の体制を築きたいところ。
当然に期待されるのは大三元だろう。
しかし、次の瞬間にカメラが森山の手牌をとらえた時、実況席がわっと沸き立った。
第1ツモでイーペーコーを完成させた森山。
狙うはもちろん一色手の大魚だ。
森山は立て続けに
を引いてマンズに寄せていく。
ただ、スピード感はこちらが上か。
太が近藤から打ち出された
をポン。
打
として大三元の可能性を残しつつイーシャンテンとした。
だが。
太の動きで森山に
が流れ込んだ。
森山の手が上へ上へと伸びたがっているようだ。
と、現代ではこんな書き方をしたら「何を非科学的な」と嘲笑の的になるだろう。
しかし、当の森山はおそらく…いや、絶対に「手が伸びたがっている」ということを感じてこの局を戦っていたはずだ。
なぜなら、
チンイツのイーシャンテンになる
を森山は涼しい顔でスルーしたからだ。
「両面を鳴いて安くアガるのは嫌なんですよ。だから、そのくらいじゃ許さんぞ、と思って。」
森山はその言葉のとおり、牌の勢いに身を任せた。














