技のデパート森山茂和、近藤誠一へ繰り出した「アトミックシェイクハンド」 【麻雀最強戦2025 ファイナル2nd Stage】観戦記【A卓】文：千嶋辰治

あの時動いてしまったら出会えなかったと巡り会い、

さらにを引き入れて手の中が真っ赤に染まった。

対する太もをチーしてとのシャンポンでテンパイ。
役満のタネであるを切り出し、3,900の加点で折り合いをつけたところだったが、

をツモって待ち替え。
さらにチャンタが増えて7,700へ打点が上昇した。

勝負に値するテンパイとなった太。

まだマンズが余っていない森山に対してを打ち出すが、

今度はテンパイが取れるにも関わらずスルー。
冒頭の12,000点を事実上拒否した森山、子方の満貫くらいでは手を打たない。

その森山の手に、

マンズの影。

ツモったのは。
放送ではノータイムで森山がテンパイを取ったためわかりにくかったが、の一盃口が完成して待ちは。
チンイツの他に２つ役が絡んでいて、このままアガれば倍満のテンパイだ。

太が突き抜けるか、それとも森山か。
二人のめくり合いは終盤に決着を見た。

太の手に誘われたは、

間も無く河に放たれた。

「ロン。16,000。」

手を倒す前にアガリ点を申告。
新手の奥義「アトミックヤミテン」が炸裂し、太はトップ目から原点割れの憂き目に。

「両面を鳴いて安くアガるのは嫌なんですよ。だから、そのくらいじゃ許さんぞ、と思って。」

再三のテンパイチャンスを嫌い、この大舞台にて門前チンイツを仕上げた森山。
これでゲームの行方は全くわからなくなった。

 

・オーラス勝負の激戦。決着はその手で…。

終盤まで予断を許さなかった激戦。
均衡が破られたのはラス前の南3局。

 

近藤誠一がリーチツモピンフドラ2ウラ2のハネ満を決めて一歩抜け出し。

そして、いよいよ決着の時。
南4局1本場を迎えて点数状況はご覧のとおり。

森山が若干有利ではあるが、藤崎は1,600-3,200以上のツモアガリもしくは出アガリ満貫以上、太は連荘必至という条件。

ここで注目はトップ目近藤の出方。

近藤はこの手格好からたった1枚の字牌を選んだ。
状況は森山と藤崎のスピード勝負。
抜けたトップ目としては手を組まずに静観していてもよい状況だが、近藤はひとまず参加する方向で一歩目を記した。

近藤のは安全牌を抱え込まない意思表示。
森山、藤崎に加えて近藤もアガリ競争に参加するとなれば太は自身の連荘が難しくなるわけで、心中穏やかではなかっただろう。

森山、近藤ともにご覧の手格好。
ベテラン同士ということもあり、どちらかがアガリに近いというシグナルが河に発せられればあっという間に協力体制が築かれるはずだ。

しかし、親の太も負けていない。