圧倒的1番人気ASAPINこと朝倉康心、父としての意地 【麻雀最強戦2025 卓上大乱闘】観戦記【B卓】文:中野巧

圧倒的1番人気
ASAPINこと朝倉康心
父としての意地

【B卓】担当記者:中野巧 2025年9月6日(土)

9月6日、麻雀最強戦2025卓上大乱闘B卓が行われた。
対局メンバー4名ともキャラクターとこの試合に求めるものがはっきりしているため、そちらの紹介から行いたい。

1人目はXの事前アンケートで投票数の56%、約6800名に支持された朝倉だ。


麻雀のゲーム性質上、どんなに強くても常勝はできないものとされているが、ここまで支持を集めるということはユーザーから相当の力量の持ち主と評価されているのだろう。

なぜ朝倉はここまで支持を集めたのか。

彼の経歴は2011年にネットの麻雀ゲームで初代最高段位になったこと、2018年に所属する最高位戦日本プロ麻雀協会に加入、同年MリーグのU-NEXT Piratesから指名されたことが大きいだろう。

特に前者であるネットの麻雀ゲームでの実績は当時高校生の私の耳にも入るほど大きいニュースだった。

少し悪意を持っていうと、それほど麻雀に時間とその他の多くのことをささげてきたともいえるだろう。

ただそんな彼に大きな変化が訪れた。
それは彼が試合前インタビューでも話していたように子どもである。

外から見ていて、子どもができてすぐの時期は麻雀中心の生活をしたい朝倉の気持ちと子ども中心にならざるをえない環境とのギャップで苦しんでいるように見えた。

しかし、それを乗り越え今ではすっかり子煩悩なパパになった。

だから今回はこれまで麻雀にすべてをささげてきた男が、子どものために勝利を持ち帰る戦いである。

2人目は近代麻雀の読者投票で圧倒的1位を獲得した大久保だ。

得票数では2位に3倍以上の差をつけ、最強戦本戦のチケットを獲得した。

大久保は控室での様子からも明るく、コミュニケーション能力に長けており、誰からも好かれる性格であることが分かった。
これは応援したくなるファンの気持ちが理解できる。

彼女にとってこの試合は応援しているファンに勝利という結果で恩返しをする絶好の機会だ。

3人目はリーチ超人の異名を持つ村上淳
村上は過去所属団体の最高タイトルである最高位を3度獲得し、その他タイトルも数多く持つ麻雀プロなら誰もが知る人物だ。


実は村上は大柄な見た目とリーチ超人という二つ名であるものの、温和でフレンドリーな性格だ。
また頼れる兄のような存在で、知っている後輩のタイトル戦前には必ず応援の連絡を入れ、団体問わず多くの後輩から好かれている。
そんな彼にとって最強戦はあと一歩が遠く、なかなか決勝トーナメントに行けず悔しい思いをしたタイトルだ。
村上にとって今回の試合は卓内最年長の経験を活かし、これまでの悔しい思いを晴らすチャンスであった。

4人目は実況とプレイヤーの二刀流、古橋崇志だ。

古橋はリーグ戦で最上位のA1リーグに所属しており、麻雀の実力は間違いない。
それだけでなくMリーグはじめ、様々な試合で実況を務める多才なプレイヤーである。
彼にとっては今後プレイヤーとしての活躍を広げるための足掛かりになる、絶対に勝たなければいけない試合である。

東家:大久保朋美(日本プロ麻雀連盟)
南家:村上淳(最高位戦日本プロ麻雀協会)
西家:朝倉康心(最高位戦日本プロ麻雀協会)
北家:古橋崇志(日本プロ麻雀連盟)

東1局
朝倉は下家で筒子染めにも見える古橋に対して、イーシャンテンから【2ピン】【7ピン】とぶつけていく。

この時朝倉は234の三色が確定する【3マン】が山にいると感じて、それなら染め手気配の古橋に対抗できると感じていたという(実際、11巡目時点で【3マン】は山に2枚いた)。

この局は四暗刻の2シャンテンから暗刻の【7マン】を切って七対子で【西】単騎リーチをかけた村上と同じ【西】待ちだった古橋がツモ。700.1300のアガリとなった。

東2局


8巡目、朝倉はこの牌姿から【6ピン】を切った。

単純な受け入れであれば、【1マン】を切るのだろう。
しかし、ここまで一定のテンポで打っていた彼の頭には萬子の一気通貫が浮かんでいた。
またカン【5ピン】をストレートに引いて【發】【4マン】の待ちになったとき、染め手模様の大久保からしか出アガリが期待できないと確信したのである。


その結果、狙いの【3マン】を引くもダマテン

最終的には【9マン】を引き、カン【8マン】でリーチ。ツモって満貫の手に仕上げる。

結果はテンパイ打牌となる【5マン】か朝倉の当たりの【8マン】を切るかの2択から危なげなく正解を選び、追いかけリーチをした超人村上のアガリとなった。

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