麻雀の無情さが勝敗を分かつ! 岡崎・尻無濱の独擅場! 麻雀最強戦2021「男子プロ最強新世代」観戦記【B卓】担当記者:渡邊浩史郎

麻雀の無情さが勝敗を分かつ! 岡崎・尻無濱の独擅場!

【B卓】担当記者:渡邊浩史郎 2021年9月4日(日)

麻雀最強戦、男子プロ最強新世代B卓。まずは選手紹介から。

令和無頼、岡崎涼太

数多くのMリーガーも認める雀力とキャラクター。一度は予選を敗退しながらも、運命のめぐりあわせによって再びこの舞台に舞い戻ってきた。まさに今一番「持っている」男だ。

麻雀王子ワタル、尻無濱航

全国に50人ほどしかいない珍しい苗字のインパクトは抜群。そのうえ、最強戦で圧倒的強さを見せているあの仲林圭のお墨付きプロとあっては注目せざるを得ないだろう。

ストイックな寝技師、岸赳生

昨年麻雀代理戦争にも出場。オーラスにて通過圏内にいながらも、手牌四枚の三浦への差し込み気味の放銃が唯一自身の敗退につながる牌姿であったがために通過を逃した。あの時の忘れ物を今取りに向かう!

待ちあて探偵、中村慎吾

本来男子プロ最強新世代に参加する予定ではなかったものの、こちらも運命のめぐりあわせで予選に出場することになり、そのままこの舞台まで駒を進めることとなった。団体内評価も高く、ダークホースとなり得る存在だ。

以上四名の対局さっそく見ていこう。

【東1局】

先制攻撃は親の中村。一手替わり二盃口の手でもあるがここは親リーチの圧力で周りを降ろしにかかる。

ここに追いついたのは岡崎。ピンフのみの現物待ち。

二着まで予選通過のこのルール。親のリーチの現物で三枚見えの【3ソウ】【6ソウ】とあってはダマテンが自然だろう。

しかし次巡に空切りリーチ!

この一巡で【3ソウ】が合わされなかったからであろうか。ここは強気の選択を見せる。

これが大正解をもたらす。

一発ツモ裏一のマンガンの加点でいきなりのリード。

次局、【東2局】も岡崎が畳みかける。

これを親番の尻無濱から出アガリ。着実にポイントを重ねていく。

【東3局】

少し離された尻無濱。一枚切れのカン【5ソウ】聴牌だがここはリーチに行く。リードを持った親番岡崎が真っ直ぐ来にくいのもこのリーチに踏み切らせたか。

中村が粘るもここは最後の一枚となった【5ソウ】をツモ。裏ドラも乗っけてマンガン。一躍二着目につけた。

【東4局】

今局もファースト聴牌は尻無濱。下家の岡崎は【發】をポンしてドラ【6マン】のツモ切り。点数状況的にもかなり速そうだ。ひと先ず【7ピン】を切れば岡崎に対して安全に聴牌を取れるが……。

尻無濱の選択は聴牌外し。岡崎に通ってない【1マン】【2マン】は放銃の危険もあるがだいたい1000点の仕掛け。三着目岸の親番を落とせるならまあ良しといったところだろう。それならばアガった時の自身の手の価値を高めるためにタンヤオ・良形を見に行く選択だ。

【1マン】から切ることによって【2マン】重なりや【4マン】引きのタンヤオ、果ては裏目の【3マン】引きからフリテンリーチも選択できる。細かいが大事な部分だろう。

これが見事にはまり、両面リーチの勝負手で他家にぶつけに行く。

ここまで岡崎・尻無濱の攻撃に耐えてきた岸もここで勝負手。高め12000のリーチで真っ向勝負。

二着抜けの趨勢がここで決まるといっても過言ではない魂の捲り合い、勝ったのは……

尻無濱だ!

聴牌外しから最速の中打点アガリを手にした。これで一気に岡崎・尻無濱両名が決勝進出に王手をかけたといっていいところで南場に突入。

【南1局】

ここで簡単に親を落としたくない中村。だが……

そこに現れたのは無情非情な現実。二巡目尻無濱の両面リーチだ。

真っ直ぐ聴牌を組みたいが放銃もできない中村。

そこにぶっぱなすという表現がまさに当てはまる、無筋をぶつけて勝負に出た岸。手から躍動感が伝わってくるだろう。

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このリーチを受けた中村は宣言牌を【7ピン】【8ピン】【9ピン】の形でチーした。

二件リーチを受けて真っ直ぐ面前で聴牌を組むことは難しい。であれば安全に形式聴牌を取るルートを残しつつ、岸の一発ツモを消すことで少しでも親被りのデメリットを消そうという鳴きだ。

この親番での加点という欲を断ち、現状の最良を目指した仕掛けが……

最良の結果を引き寄せる。尻無濱に岸の当たり牌を食い下げたのだ。

リーチドラの2600+リーチ棒1000、二着尻無濱のこの失点でボーダーはさらに苛烈になった。

続く【南2局】ではアガリこそ発生しなかったものの、下位二人が聴牌で尻無濱と3000点差を詰める。

【南3局】

トップ目岡崎の親番。点棒的には現状安泰だが……

4巡でこの形に。オーラス岸の連荘で岸に捲られ→尻無濱のマンガンツモといった形で三着に落ちる未来を考えると形さえ整えば勝負に行きたいところ。

しかしここでリーチが入る。これまで勝負手が来なかった中村の会心の三色リーチ。

そこに岡崎が聴牌を入れる。注目すべきは直前の【7ピン】チーテンを取らなかったことであろう。

【7ピン】のチーテンを入れた場合、安牌の【5ピン】を副露面子の中に使ってしまう。それを嫌った形であろうか。もともといかなくてもいい場面。【6マン】ツモで聴牌しなければほとんど降りを選択していたということであろう。

これが岸から【7ピン】を引き出す。2900+リーチ棒の加点で一撃では崩されない点数まで積み上げた。

【南3局】は岸の大物手実らず、一人聴牌で流局。

【南4局】、岸が意地のドラ打ち、チーテン取らずを見せるも、上位者二名に先に聴牌を入れられては及ばず。岡崎のアガリで幕を閉じた。

終わってみれば岡崎・尻無濱両名の独擅場であった。実力派の岸、中村も最後の勝負手が実らず、改めて麻雀というゲームの厳しさを伝えられたような気分だ。

これは完全に余談だが、筆者もこの男子プロ最強新世代の予選会に運よく呼んでいただけていた。結果は一回戦負けの惨敗。改めて予選からここまで勝ち抜いてきた両名に祝福の言葉を贈るとともに、あの予選会で敗退した私たちの分まで決勝で腕を振るってもらいたい。

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