麻雀最強戦2018ファイナル観戦記④【D卓編】勝又!金!内川!旬のプロ3人にアマ最強位・野間はどう立ち向かったのか

麻雀最強戦2018

ファイナル観戦記④D卓編

勝又!金!内川!

旬のプロ3人に

アマ最強位・野間は

どう立ち向かったのか

【ファイナルD卓】担当記者:ゆうせー

12月9日(日)に行われました、最強戦ファイナルD卓の模様をお伝えいたします。

 

対局者はこの4名。

 

起家 内川 幸太郎

 

南家 勝又 健志

 

西家 野間 一列

 

北家 金 太賢

 

ディフェンディングチャンピオンである金、十段位を獲った内川、この中で唯一のMリーガー勝又、といった今が旬のプロ3名に対して、アマ最強位の野間がどう立ち向かっていくかが見どころだ。

 

【東1局】

東家 内川 25000

南家 勝又 25000

西家 野間 25000

北家 金  25000

 

各者の配牌と第一打をみてみると、

 

内川

 

勝又

内川と勝又はドラが自然に使える比較的整った手。2人とも手なりでアガリに向かう。

 

野間

野間も三色が見えるいい手牌だ。こちらも役牌を切って臨戦態勢。

 

そんな中…

 

金は第一打を使うと高打点にはなりにくい。マンズのカンチャンを払って、ピンズのホンイツや一通、チャンタを狙う一打だ。

 

まずは、親の内川の手牌が伸びる。6巡目にこの形。

このは…

ツモ切り。を先に打って234狙いを固定したくもなるが、そうするといざ234三色のテンパイになったときにが出やすくなってしまう。それは嬉しくないので先打ちはしない。

 

また、

このようにの切り順にしてリーチをし、を打たせないことで、三色が崩れてもツモアガリによる得点アップが期待できるのも狙いか。

 

もちろん、シャンポン受けを残すことでテンパイ枚数が増加するというメリットもある。

 

トップをとるために「出来る限り高くアガる」ための切り順であろう。

 

この内川のリーチに向かってきたのは…

なんと金だった。見違えるような勝負手になっている。どんな手順を経たのかというと、

 

3巡目

を引いたことで、ホンイツを見切ってチャンタに絞る。イーペーコーやも絡めば理想的だ。

4巡目

。こので三色の目も出てきた。

 

9巡目

イーシャンテンになったところで内川のリーチに通っていないを打つ。

 

そして、

11巡目

先ほどの追いついた場面。チャンタ三色イーペーコー。リーチを打てばハネマンからスタートだ。トップを目指して気合のリーチ。

2人の勝負になるか、と思いきや、

 

「チー」

勝又もをチーしてタンヤオドラ1のテンパイを入れてきた。

 

実は勝又、

前巡にこので内川の現物、待ちのテンパイを入れることも出来たのだが、

そのときはスルーしている。

 

親リーチ1件に対してめくりあうなら、この手は最低5200以上にしたいという意志だろう。

 

しかし、金まで参戦してきた以上、テンパイを入れて他家のアガリを防ぎつつ、4000点を加点する狙いで仕掛けた格好だ。

 

開局から熱いめくり合い。勝負の行方は…

 

「ツモ」

勝又のタンヤオドラ1 500-1000のツモアガリ。瞬時に狙いを切り替えた見事な判断だった。

 

【東2局】

開始時の持ち点

北家 内川 23000

東家 勝又 29000

南家 金  23500

西家 野間 24500

 

前局アガった勝又にチャンスが。1巡目に金が切った、

このを勝又がポン。

さらに、

金が切ったこのも、

勝又がポン。このとき、

勝又はを切っているのがなんともニクい。ホンイツ大本線なので、少しでも染め手の匂いを消す作戦だろう。確かに、中と並べられると他家が勝又の狙いを絞りづらい。

 

そして、

金が打ったこのも、

勝又はポン。打としてホンイツ&トイトイのイーシャンテンに構える。

 

というか河が凄いことになっている。勝又が4枚切っている以外は河に牌が無い(笑)。野間と内川はまだ1枚もツモっていない。完全においてけぼりである。

さらしている部分の迫力も凄い。

 

これを受けて、勝又の他に、唯一この局に牌をツモっている金も、

と少し受ける。愚形残りのリャンシャンテンで南まで打つのはやりすぎだと判断したか。

 

しかし、決してひるんだわけではなかった。3巡後に、

この形から、

を打ち出していく。勝又の現物を切ってしまうと、ピンフ三色のイーシャンテンになるツモを逃してしまう。タンピンや、ピンフ三色が狙えるこの手なら勝負になるとの判断だろう。

 

その後、

を引き入れ勝又がダブホンイツ12000のテンパイを入れる。これは完全に勝負手だ。

と同時に、

金もこの形のイーシャンテンに。追いつけるか…

追いついた!勝又の河にがある。ダマにするか、リーチをするか…

リーチだ。ここは勝負に出た。

盤面を見てみると、

は勝又の現物であるにもかかわらず、切れているのはその1枚だけ。迂回している内川や野間が切っていないということは山にいる可能性が高い。

 

それに、勝又は3副露。全勝負してくるのだから、金としても自分の打点を上げた方がいい、と腹をくくったのだろう。

 

か、か…

すぐさま決着はついた。

勝又が一発でをつかむ。

そして裏ドラが。金が勝又からメンタンピン一発裏裏12000のアガリ。

 

勝又の仕掛けに敢然と立ち向かった、金の見事なアガリだった。

 

【東3局】

開始時の持ち点

西家 内川 23000

北家 勝又 17000

東家 金  35500

南家 野間 24500

 

前局放銃してしまった勝又、丁寧に手作りをしていく。

チートイツのリャンシャンテン。場に高いピンズを嫌って打

字牌も高め。また、を両方とも手に置いてしまうと、中盤以降に字牌を次々と手出しすることになってしまって七対子が匂うことに。ここで字牌を1枚外しておくために打

イーシャンテンに。マンズの下目(数字の小さい方)も全く場に出ていない。打

を引いてテンパイ。に関しては、3巡目にを切っている人が2人いるとはいえ、ドラがなので使われている可能性も高い。が待ちとして良いとは言えない。

 

より良い待ちを探していると巡目もかかってしまうので即リーチ。点棒があまりないのもリーチを後押ししたか。

盤面はこのような感じだ。

 

このリーチを受けた野間、

とした。は勝又の現物。自身が追いついた時にで出アガる可能性を上げるため、先に筋を作り出した。絶妙に工夫された一打だ。

自分で引くんかい(笑)と少しコケてしまったが、こちらの方がうれしいのはうれしい。リーチをして勝負に出る。

 

どちらが勝つか…

なんと、またしても勝又即づかみ。

野間が勝又から、リーチ一発東ドラ8000点のアガリとなった。

 

【東4局】

開始時の持ち点

南家 内川 23000

西家 勝又 8000

北家 金  35500

東家 野間 33500

 

手痛い放銃が続く勝又。6巡目に分岐点。

勝又の選択は…

。テンパイする枚数だけならを切った方が多いが、その場合にはドラが出ていくこともあるし、ピンフが消えてしまうツモも多い。

 

を切ると、ドラは使い切れる上、が入れば三面張が残るというメリットがある。また、あたりのツモにも対応できる。

 

三面張が残るとツモアガリ率や一発率も増加するので、ここは打を選んだのだろう。

次のツモは無情にも

さらに、ソウズを残していれば一発ツモだったを引いたが、これは仕方がないだろう。気を取り直して三面張リーチだ。

しかし、このメンツは簡単に一人旅をさせてくれない。

すぐさま金が追いついて待ちの追っかけリーチ。さらなる加点を狙う。

 

実は、

7巡目にこの役無しのテンパイが入っていた野間。2人に挟まれて、

オリを選択。落ち着いた判断だ。

 

この局は、

勝又が金のを捕らえた。

リーチピンフドラ 3900点のアガリ。勝又が南場に望みをつないだ。

 

少し脱線するが、この半荘は進むペースがとても早かった。これは4者ともに「トップ獲り」麻雀の判断に自信があるのだろう。時間をかけずとも正着を導き出せるということだ。

 

また、「4人ともトップ以外意味がない」という状況ではリスクをとってでも踏み込まなければならない局面が多くなる。特に手が入った金と勝又が積極的に試合を進めていった結果、ぶつかり合って決着が早くなったこともあるだろう。

 

「トップだけ偉くて、2 3 4着は負け」という同条件で4人ともが打つ麻雀は、実は珍しい。このようなガチのぶつかり合いが見られるのも、最強戦の醍醐味ではないだろうか。

 

では、後半戦に参りましょう。

 

【南1局】

開始時の持ち点

東家 内川 23000

南家 勝又 12900

西家 金  30600

北家 野間 33500

 

トップ目の野間、

表示には出ていないが、はドラ。一番欲しい牌を引き入れてイーシャンテン。が鳴ければ

楽だが…

金が国士とチャンタ系を狙った手作りをしている。金が国士に向かうと、はなかなか姿を現さなそうだが…

金は途中から純チャンに狙いを定める。打ち出される

これを野間がポンしてテンパイ。のシャンポン待ち。

金のもとにが…

しかし、ここは純チャン決め打ちで打を使い切れたら金が有利、が余れば野間のアガリだ。

ツモ。どうする…

が2枚切れなので、打。放銃回避。

これは嬉しくないテンパイ。リーチか、とりダマか、を切って三色狙いに絞るか、それとも…

金はツモ切った。仕掛けも効き、高打点も狙える純チャンを目指す。

 

野間の敵は金だけではない。

勝又も形の良いイーシャンテンに。追いつかれた場合には野間はアガリ牌の枚数が少ないため不利だ。

金が純チャン三色も狙える形に。ここは、

は野間のアガリ牌。点棒状況的にライバルである金から、ドラ 2000の直撃。これは大きい。

 

【南2局】

開始時の持ち点

北家 内川 23000

東家 勝又 12900

南家 金  28600

西家 野間 35500

 

3巡目の金、

ここから、何を切る…

金の選択は打の部分は先に埋まらないとピンフがつかない、この手のネックと言える部分。を残すことによって456や567も見ることができ、ソウズどちらを引いた場合にも打点を見ることが出来る。まさに現雀王らしい、打点のタネを逃さない秀逸な一打だ。

しかし、金の手はなかなか進まない。動いたのはあとの無い親の勝又、

をポンして打。1枚切れているを切ることで手牌の一番強い部分を固定。カンに魅力があるため、の重なりにも期待した、場況重視の一打だ。

 

この親の仕掛けに対して真っ向から立ち向かったのが、

トップ目の野間だった。リャンシャンテンからドラのを切り飛ばして臨戦態勢。

 

この程度のリードで守っていてはまくられてしまう。先に危険牌を処理して攻めの姿勢で立ち向かった。

続いてを引き入れてイーシャンテンに。危険牌先切りで打

野間はこの表情。一打一打の重みを物語る表情だ。

勝又がカンテンパイを入れるが、

野間も待ちで追いついてリーチ。リーチをするのは怖い。しかし、最後まで攻めないと勝てない。自身を鼓舞するかの如く、気合を込めてを横に曲げた。

盤面はこのような感じだ。

ここまで、我慢の展開が続く内川。この形のイーシャンテンにこぎつける。

しかし、ここは打。勝又もリーチに全押ししている。勝又がアガれば局は進まない。野間の危険牌であるをしっかりと抑えて、親の連荘に託した。

 

どちらがアガるか…

つかんだのは勝又だった。

リーチ 1300のアガリ。野間がめくりあいを制した。

 

【南3局】

開始時の持ち点

西家 内川 23000

北家 勝又 11600

東家 金  28600

南家 野間 36800

 

この親番でなんとか逆転したい金。願いを込めてサイコロを振る。

好配牌だ。ドラを引けば5800以上も望める。

 

一方、

野間も絶好のカンを引き入れる。この親を落とせばトップに大きく前進だ。から切り出す。

そのを金がポン。

野間もを引いてイーシャンテンに。一騎打ちの様相だ。

金が待望のドラを引き入れて盤石のイーシャンテンに。

すると、野間もを引いてピンズが三面張に。

 

このとき、

金の河を見て、金の現物を置いて、金に危険なを先に処理。大舞台での勝負どころにおいても落ち着いて判断が出来ている。これは野間が逃げ切るか…

と、思っていたら金がテンパイ。待ち取りは…

シャンポンを選択。のツモか直撃でいったん逆転出来る。この局面ではアガリ枚数よりも打点が重要だ。

 

が出るか…

そこに野間も追いついた。オーラスの条件を厳しくするためにリーチを打つ。これも思い切った素晴らしい判断だ。

 

勝負処を制したのは…

あとの無い勝又から、が放たれた。

野間、リーチ一発ピンフドラ裏 8000のアガリ。リードを広げてオーラスを迎える。

 

【南4局】

開始時の持ち点

南家 内川 23000

西家 勝又 11600

北家 金  28600

東家 野間 44800

 

条件としては、金はハネマンツモ。内川はハネマン直撃か倍満ツモ。勝又は三倍満ツモ直だ。

 

しかし、圧倒的に手牌がいいのは野間だ。

7巡目にテンパイ。しかし、流局すればトップで終了だ。だから、

勝又から見逃し…

金からも見逃した。金の河のトーンが上がってこないことから、この局、金に条件が出来ないだろうと野間は判断したか。

内川からも見逃し。全員から見逃して、このまま野間が逃げ切るか…と思ったその時。

 

ここまで我慢してきた男が最後にやってきた。

そう、内川だ。チートイドラドラを仕上げてリーチ。ツモって裏裏条件。ツモ番は残り三回。待ちは

河を見てもは山にいそうだ。

 

そして、内川最後のツモ番…

ツモれない。

野間が手牌を伏せて半荘終了。脂の乗ったプロ三人を相手に、全国アマチュア最強位の野間が堂々たる立ち回りで決勝進出を決めた。

 

20回以上も地方予選に参加。この最強戦にかける思いは並々ならぬものがあった全国アマチュア代表。自ら勝負を決めに行く姿勢は見ている者の胸を打った。

地方予選やアマチュア最強位決定戦に挑んで敗れていった全国各地のアマチュアの思いとともに、野間は決勝の舞台へと進んでいった。

 

ゆうせー
京都大学法学部卒の現役塾講師でありながら雀荘の店員もこなし、麻雀強者が最も集まる人気オンライン対戦麻雀「天鳳」でも全国ランキング1位(鳳南2000戦安定段位ランキング2018年5月現在)、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著書であり、Mリーガー朝倉康心プロの実兄。

【シリーズ記事】

麻雀最強戦2018ファイナル観戦記①【A卓編】

麻雀最強戦2018ファイナル観戦記②【B卓編】

麻雀最強戦2018ファイナル観戦記③【C卓編】

麻雀最強戦2018ファイナル観戦記⑤【決勝卓編】

 

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