鈴木たろうが南3局に描いたシナリオ─見逃しの先にあった結末とは【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 1/23 第1試合(麻雀2チャンネル)】担当記者 虫かご

すぐに【3ソウ】で雀頭を形成し【5ソウ】を切ればテンパイの形にたどり着いた。ドラがでていくことにわずかな逡巡を見せたたろうだったが、【4ピン】【7ピン】の両面待ちには叶わず、素直にテンパイをとった。

すると、点差の離れたラス目に沈んだ仲林から、【4ピン】が放たれる。

「よし、これで1000点アガってオーラスだ」

観戦していたあなたもそう思ったのではないだろうか。私もそう思った。

しかし、聞こえてこない。「ロン。1000は1300」の発声が聞こえてこない。

この終盤で、たろうは当たり牌を意図的に見逃したのだ。

この瞬間にたろうが意識していたのは、「トップ目でオーラスを迎えること」だった。

仮にたろうが仲林から1000点(1300点)をアガり、2着目でオーラスを迎えるとしよう。

黒沢を逆転してトップになるには、主に

・自身の和了

・黒沢の放銃

・多井または仲林のツモ和了による黒沢の親被り

が挙げられる。しかも、わずかではあるがそれぞれ打点の条件がつく。

 

しかし、トップ目に立ってオーラスを迎えると、

・多井または仲林の和了による横移動

・たろうと黒沢の両名がノーテン

など、トップを獲得できる道筋が増えるのだ。点差の離れた仲林が、オーラスで素点回復の和了を目指すことも想像できる中で、このような決着は十分あり得る。

 

試合後に「ここは見逃しが生きそうな場面だった」と振り返ったたろう。巡目が早かったことも手伝い、黒沢からの直撃に舵を切った。

その後、各者の手も進み、なかなか【4ピン】【7ピン】が顔を出さずにいたが、3段目に入ってきたところで黒沢が【3ピン】を鳴き、打【4ピン】。見事に直撃を決めてトップ目に躍り出た。

迎えたオーラス。黒沢はかなり厳しい配牌から、鳴き仕掛けを入れて連荘を目指す。すると、2段目中盤で仲林が【1ソウ】【4ソウ】待ちでリーチした。

たろうからしてみれば「どうぞアガってくれ」と言わんばかりのリーチ。南3局で思い描いたシナリオ通りの展開に、さぞ歓喜したことだろう。

しかし、たろうの思惑通りに進んだのはここまでだった。

仲林のリーチに必死に立ち向かっていた黒沢。ノーテンもちらついてきた終盤で、なんとトイトイのテンパイを入れたのだ。絶望的な配牌からスタートしただけに、このテンパイはあまりにも大きすぎる。

すると、次局の1本場ではドラドラの手牌を生かして2000は2100オール。再びたろうを逆転し、そのままトップを獲得した。

試合後、「相手が悪かったですね……」と笑ってみせたたろう。

レギュラーシーズンはいよいよ終盤戦。特にボーダー付近では、条件戦も絡んだ戦略的な和了が見られるようになるだろう。こんなときに頼りになるのが、たろうだ。観る者をあっと驚かせる選択をとり続けるゼウスから、ますます目が離せない。

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