自らを「塩試合製造機」と
称した“デジタルなクルー”
仲林圭が振り返る
「お気に入りの一打」
文・ゆうせー【木曜担当ライター】2025年3月6日

第2試合
東家:醍醐大(セガサミーフェニックス)
南家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
西家:黒沢咲(TEAM RAIDEN / 雷電)
北家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
「塩試合製造機だな…」

と、仲林圭は、試合後に自らの配信で語った。
塩試合とは「地味な展開の試合」という意だろう。
大味な展開にならないのは、仲林がシビアかつ正確無比な打牌を繰り返すからという理由も大きい。
名人に名手なし、という言葉もあるように、正着というのは地味なものだ。
仲林が「理にかなった牌」を打ち続けているからこそ、勝ち試合は渋いものになったのだろう。
そんな仲林が、この試合を振り返っているときに、
「この局、よかったな…」
と話した場面を、今日は取り上げたい。
それは、南2局。
トップ目の仲林は、親番を迎えていた。
5巡目に、

を引いてこの形に。
立体図は、

このようになっていた。
みなさんなら、何を切るだろうか?

仲林が選んだのは、

だった!
手牌全体としては、アタマがないので亜両面の形を残したくなるものだ。
だが、よくよく盤面を見ると、

が場に1枚出ている。
は残り1枚しかない。
そして、ツモに関しては、
の部分で受けることが出来る。
つまり、から
を切っても、アタマを作るという点においては
1枚分しかロスがないのである。
一方でメンツを作るという観点では、が場に1枚見えていて、残り2枚。
自体を持ってくることもやや難しい。
ということは、先にを持ってきても、
でのフィニッシュが厳しめになるということだ。
まとめると、雀頭を作る上でも、メンツ候補を作る上でも、残しは、やや窮屈になってしまうのである。
対して、を残せばどうなるだろうか。

アタマという意味では、の縦重なりはあと3枚ある。
は1枚なので、
を残した方が瞬間的なテンパイ逃しの可能性は低い。
また、横伸びに関してもを持っておいた方が優秀だ。
リャンメンの出来るツモは合わせて8枚。そうなると、
例
からの打で、
待ちの広いイーシャンテンへと変化する。
こういう、「繋がっている部分を嫌って、孤立である真ん中の牌を残す」選択は、苦手な人も多い。
「…うわ、切ってたわ」
という方もいらっしゃるだろう。