自らを「塩試合製造機」と称した“デジタルなクルー”仲林圭が振り返る「お気に入りの一打」【Mリーグ2024-25観戦記 3/6 第2試合】担当記者 ゆうせー

だからこそ仲林は、

この一見するとミスしやすい局面を「地味だけれどいい局」とも語っていたのだろう。

少し話は逸れるが、YouTubeでの仲林の検討配信は非常に要領を得ていてスピーディーだ。この試合も40分ほどで、ポイントを押さえながら振り返ってくれるので、重宝している。この場を借りてオススメしたい。

さて、続きを見ていこう。

仲林が次に持ってきたのは、

赤だ!

このツモもある。

そして、

流れるように【6マン】を重ねてテンパイ。

赤は出てしまうことになったが、

黒沢から【5ピン】をとらえて、リーチピンフ赤。5800の出アガリ。

最速のテンパイを組み、見事にアガりきった仲林の選択が光った一局だった。

ここで突き放した仲林は、このあとヒヤッとする場面もあったものの、

トップを獲得したのであった。

私は「地味な局に喜びを感じる」仲林を見て、Mリーグ2018-19、すなわちMリーグ初年度のある場面を思い出していた。

打ち手は、

EX風林火山滝沢和典である。

今でもこの日のことは鮮明に覚えている。

レギュラーシーズン最終盤に、東4局で、

役満をアガった滝沢は、

勝利インタビューで、役満の話を聞かれている最中に、

滝沢「東1局が自分は好きで…」

と、全く別の局の話を始めたのである。

その東1局では、

滝沢「(茅森のリーチに、下家の)園田さんが【9ピン】バシッと押したのを見て、」

滝沢「【1ソウ】【2ソウ】【3ソウ】【2ソウ】を抜いたんですよね」

ここで共通安全牌をキープ出来たため、

2軒リーチになったとき、手詰まらずに【9ピン】が切れた、とのことだった。

どうだろう?

役満と比べて、めちゃくちゃ地味ではないだろうか??

ただ、

滝沢も、

そして今日の主役だった、

仲林も、何千何万と半荘を打って、運が良かった場面と不条理なシーンとを両方体験してきたからこそ、

「地味だけれど、自分の選択がしっかりと活きた場面」

に喜びを感じるのではないだろうか。

もちろん、派手な打撃系のスタイルも麻雀の「華」だ。

仲林を一気に抜き去ろうとした、この黒沢の四暗刻テンパイには、皆、胸がときめいたことだろう。

先ほど「仲林がヒヤッとする場面もあった」と書いたが、この場面のことであった。四暗刻は不発に終わったが、あとから対局を見たら「あぶな!」と思うことだろう。

この四暗刻手順は、取り立てて黒沢が「大きくいくわ!!」とダイナミックに進めたわけではない。それでも、各々が「勝ちたい」と思って戦いながら、要所要所で微妙に選択が違ってくるところが、麻雀の面白い部分でもある。

その中で、仲林圭は、たとえ1000回打牌選択があっても、盤面を凝視して、何が最善かを「デジタルに」すなわち「合理的に」考えることで、これからもきっと目指していくのだろう。

パーフェクトな1000打を。

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