熱論!Mリーグ【FS第8節】
トップの座、頂戴します!
強面特攻隊長・松本吉弘の
実は“繊細”な取り立て劇場
文・真中彰司【FS第8節担当ライター】2019年3月9日
流れる季節の真ん中で、ふと麻雀の不可思議さを感じる日。
Mリーグのファイナルシリーズは全日程の3分の1を終えようとしていた。
7戦を終えた時点で、ポイント状況は上下にハッキリと二極化。
このまま風林火山とドリブンズのデッドヒートになるのか?それともアベマズ・コナミが優勝争いに割って入るのか?
出場選手は画像の通り。7戦目にトップを獲った風林火山は滝沢和典が連闘し、他3チームはメンバーチェンジする形となった。
なんとしてもポイントが欲しいアベマズは、ここで特攻隊長・松本吉弘を送りだした。
最年少ながら、チームがピンチの場面で幾度となく結果を残してきた。
取り立て屋とも言われるその手腕で、チームに勝利を届けられるか。
試合は東1局から滝沢と村上淳がリーチを打ち、激しいめくり合いに。
上位2チームの直接対決となったが、ここは村上に軍配。滝沢から2900を討ち取る。
ドリブンズとしては上々の滑り出しだ。
しかし滝沢も親番で平和一盃口のリーチを打ち、高目をツモって4000オール。
放銃してもすぐに立て直す、風林火山の凄まじい安定感。
この牙城を完全に崩せるチームなんているのだろうか…?
しかし東2局1本場、ついに特攻隊長・松本が立ち上がる。
単に親を流すだけならヤミテンでも十分だが、アベマズとしてはとにかくトップが欲しいため、リーチで更なる打点アップを狙いに行った。
裏ドラは乗らなかったが、滝沢のリーチ宣言牌を捕えて2600の出アガリ。
ギリギリで滝沢の連荘を阻止し、独走を許さない。
すると親番では勢いよく一発ツモで4000オール。
完璧なタイムリーヒットを放ってトップに躍り出た。
このまま逃げ切って、なんとかチームにトップを届けたい…
そう思った矢先の展開だった。
2度の流局を挟んで東4局3本場。
供託2本も欲しいところだが、2枚切れのを安全牌に残し、一気通貫を見ながら手牌を組んでいく。
そこに滝沢からリーチがかかる。待ちはなんと、地獄単騎の!
チートイツで待ち頃の牌になり得るような端牌や字牌を先に切っているため、字牌単騎で当たるような河には見えない。
まさに掴んだ者は地獄行きの、恐ろしいリーチだ。
ちょうどイーシャンテンになったことも災いして、松本が一発で放銃。
裏ドラは乗らなかったが、6400点の放銃となってしまった。
「え、これが当たるの…!?」
が当たるとは思っていなかったのか、アガリ形を見て数秒固まる松本。
このまま自由自在な滝沢に独走を許してしまうのか…
しかし、それでも松本は諦めなかった。
多井の負担を少しでも減らすため、そして白鳥とハイタッチを交わすため…
滝沢の切ったに間髪入れず喰らい付いていく。
ドラのが対子だが、親の滝沢に連荘されては勝負が決まってしまう。
打点よりも速度を重視して積極的に仕掛けていった。