西原理恵子 & 山崎一夫 ギャンブルの必勝法と攻略法!!

ギャンブルの必勝法と攻略法

かつて銀玉親方としてパチンコ・ライターをやってたことがあります。
その当時、記事を書く時に気をつけていたのが、必勝法攻略法の違い。

あくまでも個人的な基準ですが、必勝法というのは「どの店でもどの台でも、ほぼ共通するする勝ち方。時給千円くらい」
たとえばクギ読みや、正確な玉スジや、新装開店狙いなどの立ち回りとか。

一方、攻略法というのは「特定の機種で、メーカーやホールが想定していなかった、盲点を衝いた勝ち方。時給五千円とか」のこと。
当時代表的だったものに「大当たり狙い打ち」「連チャン促進打法」などがある。

そのころは、特殊な電子機器を使った方法も攻略法と呼ばれてましたが、今では違法と認定されています。
その当時はメーカーやホールの技術力がまだ低くて、日当数万円の攻略法が、毎年いくつか開発されていたんです。

やがてメーカーの技術力アップで、攻略法がほとんど生まれなくなり、必勝法だけではたいして儲からなくなってしまいました。
当時も今も、ぼくのギャンブル・ライターとしての視点は、実はギャンブラーよりも、ゴト師とハウスがわです。

「ゴト師ならどうする?」
「ハウスならどうする?その裏はかけないか?」 

とかね。

たまに取材を受けることもあります。

「ギャンブル必勝法を教えてください」
「こっちが知りたいです」
「今までいくらくらい勝ったんですか?」
「うっ」

実はこれには今も苦労しています。
かつてギャンブルざんまいの生活をしている時には、

「生涯一億円くらいなら勝てそうだな」

なんて甘いことを考えたことがあります。
ところが、自分で雀荘を経営し始めて、ぼくの代走で女性従業員に麻雀を打たせたら、良く負けること。

最初に1店舗の時は気にしてなかったんですが、店が増えて10数年やってると、累積負け金額は、すでにぼくが勝つかもしれない、と思ってた金額くらいになっているんです。

「その分、お客さんを呼んでくれるからいいいいか」

自分を無理やり納得させているのでした。

大勝ち小負けパターンの必勝法

むかしから人気のある必勝法に「コマの上げ下げ」というのがあります。
コマというのは賭け金のこと。
つまり、

「勝敗は繰り返すので、常に同じ金額を賭けていたんでは勝てない」
「勝った時は大きく賭けてて、負けた時は小さく賭けてれば、トータルで勝てる」

というもの。
前半はいいとして、後半はどうなんでしょうね。

結果が出る前に賭けるんだから、ほとんどのギャンブルで効果はない。
ただし、ポーカーのようにゲームの途中で、レイズ(賭け金アップ)や、ブラフ(はったり)が可能なゲームは、ある程度使えます。

コマの上げ下げで勝っている、という年配のギャンブラーに質問したことがあります。

「大きく賭けるタイミングはどうして分かるんですか?」
「そりゃ勝負の流れと波だな」

なんだか水みたいな答えでした。
この信奉者はけっこう多いようで、株や先物取引などでも行われています。
友人の編集者の末井昭さんの持ち株が暴落した時のことです。

「このままだと大損だよ。こうなったらナンピン買いだな。そりゃあ!(追加投資の掛け声です)」
「なんですかナンピンて?」
「暴落したこの時期に、さらに買い増せば、相場が戻った時に儲かる」
「戻るんですか?」
「相場は上がったり下がったり波があるからね」

似たようなことは西原理恵子さんも、FXでやってました。

「く~、暴落した。でも底値で買えばあとは上がるだけ。うらあ!

底の底だと思ってたら、さらに底が割れて地獄が見えたそうです。
ちなみに、西原さんは一千万円、末井さんは株と先物取引でだいたい一億円くらいの損失だとか。

●ギャンブルの波を信じるな。

波というと、次に来るのが読めそうな気がしますが、実はギャンブルの波はたいてい読めない
本当の波なら周期や振幅があるハズですが、ギャンブルの場合はそれが明確でない。
つまり、ほとんど波じゃないんですね。

株で底値というのも同じ。
振幅が決まっていれば底値もあるでしょうが、信用してはいけません。

ハウスがわの視点(証券会社など)から言えば、ほとんどのお客さんはカモとしか見ていません。
ちなみにゴト師的な取り引き、つまりインサイダー取り引きでさえ、必ずしも成功するとはかぎらないと聞きます。

さて、大勝ち小負けのパターンが絶対にムリかというと、そんなことはない。

パチンコなどで攻略法があった時はどんなに不ヅキでも徹底的に勝負しました。
ある攻略法の波の大きさは(波って自分で言うな)、だいたい日当二十万円から赤字三万円の間でした。

赤字がいつまで続こうと勝負は続行。やがて来る二十万円の大爆発が快感です。
かつて末井さんの会社のボーナス日に開催されていた「大小」というギャンブルは、ハウスが有利なので交代制でやってました。
いわゆる回り胴です。

「最後は山ちゃんに胴をやってもらって取り返そう」

末井さんの一声でぼくが胴に座ります。
それまでちまちまと勝っていたお金も、そこで負けたらすべてパー。
逆に言えば大勝のチャンスです。

「よし、最後は山ちゃんにみんなの有り金勝負を受けてもらおう!」
「おれも乗った、みんなで親方をツブせ!」

こっ、これはシビれましたね。
麻雀も同じ。勝てそうな相手がサシウマを申し込んできたら、どんなに高くても受ける。
さらに、倍々プッシュも受ける。負けたらそれまでの勝ち分がすべて飛ぶような条件でも受けるのだ。

勝てる賭場でギャンブラーが勝ち分を確定させようと、サイフにしまうのを目撃することがあります。
気持ちは分かるけどこれは損。チャンスは常に有り金勝負なのだ。

(文:山崎一夫/イラスト:西原理恵子■初出「近代麻雀」2011年2月1日号)

●西原理恵子公式HP「鳥頭の城」⇒ http://www.toriatama.net/
●山崎一夫のブログ・twitter・Facebook・HPは「麻雀たぬ」共通です。⇒ http://mj-tanu.com/

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