逆境の雷電。黒沢咲のスキル「対ピンチ◎」が卓上を支配。【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 2/6 第1試合(麻雀チャンネル)】担当記者 虫かご

さらに圧巻だったのが1本場だった。

3巡目に【1ソウ】を引き入れ、チャンタもつけた高打点がぐっと近づいた黒沢。対面の柴田がマンズの上を切り続けている状況を見極め、カン【8マン】受けを残してカン【8ソウ】ターツを払いにかかる。

次巡、【2ピン】をツモると、これをノータイムでツモ切りとした。「私はチャンタしかアガらない」。そんな心の声が聞こえてきそうな意思ある一打である。

そんな思いが天に届いたのだろうか、すぐさま【1ピン】を引き入れ、カン【8マン】待ちでリーチをかけた。

嫌ったカン【8ソウ】が先に来てしまい、嫌な空気が一瞬流れるも、

我々のため息を振り払うかのように、すぐさま【8マン】をツモ。

さらには裏ドラが3枚乗り、6000は6100オールで一気に突き抜けた。細かい技術で丁寧に紡いだ繊細な和了というよりも、強い意志で運命を無理矢理こじ開けたような派手な一撃。黒沢の真骨頂ともいえる和了が決まった。

チームメイト、そしてファンとともに

南場に入っても、その勢いが途絶えることはなかった。

南2局。手中にドラと赤2枚を収め、【3マン】【6マン】でリーチ。

これに飛び込んでしまったのが柴田だ。細い道をたどってチートイツを作り上げたが、宣言牌の【6マン】が捕まる。

裏ドラものり、12000の和了。これで、黒沢のトップはより盤石なものとなった。

迎えたオーラス。2着目の東城に3万点もの差をつけ、さらに素点を稼ぎにかかる黒沢。234の三色が確定したカン【5マン】待ちのダマテンを入れる。

これに対抗したのが、ラス目から着順アップを狙う醍醐だ。【1マン】【4マン】【2マン】待ちでリーチをかける。

放銃してもトップから陥落するケースがほとんどない黒沢。一発目に持ってきた【6ソウ】も、当然のように押す。

その後、東城、柴田もテンパイを入れる中、黒沢は次順に持ってきた【1マン】も迷い鳴く切り出した。彼女が、チームが目指している景色はもっと上にあるのだ。

結果は、1300の放銃。自らの手で対局を終わらせることとなった。

終わってみれば、リーチ、和了、放銃いずれも4回ずつと、卓上を暴れ回ってもぎとったトップとなった。

試合後のインタビュー。大量加点した東4局に話が及んだ際、黒沢が語り出したのは対局前の出来事だった。

昨日6位に沈み、嫌でもライバルとのポイント差がちらつきそうな対局。それでも「まったく気にしていなかった」という。

瀬戸熊からは「失敗しても良いから好きに打っていい」。
本田からは「いつも通り何も考えずに打てば良い」。
そして、仕事で不在だった萩原からは「信じて応援している」と一言。

3人の言葉が、黒沢の覚悟を決めたのだ。

この追い込まれた場面で、黒沢がいつも以上に黒沢らしく戦えるのはなぜか。もちろん本人の実力もあるだろう。しかしそれ以上に、彼女を支えるチームメイト、そして熱狂的なユニバースの存在が、ぶれそうな精神を落ち着かせ、平常心で対局に送り出している。

この一勝は、チームとファン、みんなで勝ち取った一勝だ。

きっと、このうねりはさらに高く舞い上がっていく。

 

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