さて、ギャンブル中毒は薬物を伴わないので、こちらは行動依存です。
ただし、自力で脳ミソの中に薬物同様の科学物質を作り出してるので、自力の薬物依存とも言えそう。
ギャンブルが成功した時の、達成感や全能感を生み出す、快感物質、いわゆる脳汁ですね。 じゅわ~。
「もう1回勝負したら帰る」
「もう1回だけ勝って帰る」
「負け分を取り返したら帰る」
こんな考えと行動に取りつかれてしまうんです。
そうなると、さらなるドツボにハマる可能性が高い。特に
「負け分を取り返したら帰る」
とは言うのはかなり難しい。
昔、歌舞伎町の裏の「旅館麻雀」をやっていた時に、貰ったばかりの年末のボーナスを持って勝負しに来てた年配のサラリーマンがいました。
夕方から打ち始めたんですが、ツイてなくてかなり負けが込んでました。
最初のうちは、あらかじめ用意しておいたズボンのポケットの中のお金を使っていたんですが、深夜近くになって内ポケットから封筒を取り出した。
「こんなに負けたままじゃ帰れないよな」
明らかにボーナス袋を分かるので、まわりの男たちがニンマリを目を見合わせておりました。
電車があるうちが場を洗う(勝負をやめる)タイミングだったんですが、それを逸したのは明らか。
周りから寄ってたかってサシ馬に誘われて、連敗に次ぐ連敗。
始発電車が出るころには、ボーナス全額を失ってました。
博打場では弱り目の人や、負け分を取り返そうとして焦っている人は狙われやすい。
打ち手だけでなく、旅館麻雀の胴元も、高金利の金を貸しつけて、カモのギャンブル依存につけ込むのだ。
このドツボから逃れる方法は主に2つ。
●強い意志で場を洗う。
●もっと不ヅキなヤツを誘い込んでカモにする。
食物連鎖に新たなカモが加わって自分が捕食者の立場になると、自分がカモだった状態が急に冷静に見えるようになるんです。
(文:山崎一夫/イラスト:西原理恵子■初出「近代麻雀」2011年5月15日号)
●西原理恵子公式HP「鳥頭の城」⇒ http://www.toriatama.net/
●山崎一夫のブログ・twitter・Facebook・HPは「麻雀たぬ」共通です。⇒ http://mj-tanu.com/