【 #神域リーグ2023 ファイナル第1試合観戦記】一人の漢と麻雀の物語 連覇へ、そして麻雀へ 歌衣メイカの想いよ届け【文 #後藤哲冶 】

一人の漢と麻雀の物語
連覇へ、そして麻雀へ
歌衣メイカの想いよ届け

去年の話をしよう。
チームアトラスは、神域リーグ初年度の優勝チームだ。

その中で、歌衣メイカは獅子奮迅の活躍を見せ、MVPを獲得。輝かしいほどの成績を残して見せた。

昨年アトラスを率いた監督村上は、年度が新しくなった今年も迷いなく、歌衣メイカを1位指名。

「まあ、アトラスの顔なんでね」
「彼を外すわけにはいかない」

麻雀のみならず、プライベートではカラオケに行ったこともあったそう。

村上監督と歌衣。
2年連続同じチームで戦ってきた2人は、確かな絆があった。

そんな中で村上が、前節にあたるセミファイナルで歌衣にだけ少し、零した話がある。

「仮に神域が来年続いた時。僕Mリーガーじゃなくなっちゃったから、ワンチャン監督外れる可能性もあるんだよね」

最高峰の麻雀プロリーグ『Mリーグ』。赤坂ドリブンズに所属していた村上だったが、残念ながら今年でその席を外れることになってしまったのだ。
神域リーグは初年度、MリーガーとVtuberがコラボする企画として生まれた。
今は「麻雀トッププロ」と記載は変わっているが、来年がどうなるかはわからない。

「でも、アトラスで2連覇した監督ならさ、続けられるかもしれないから、やっぱり優勝、したいよね」

それは、村上の本心であったように思う。
村上自身が、この神域リーグを心から楽しみ、そして神域リーグの良さを周りに伝えてくれていることは良く知っている。
麻雀プロが集まる場で、私はたまたま横を通り過ぎただけだったが、村上が本当に楽しそうに神域リーグを皆に勧めている姿を見たことがあった。

「……監督のためにも、勝ちてえな」

優勝へは、トップが必須。
チームアトラスとして。神域リーグ2連覇の夢へ。
”漢”歌衣メイカが、ファイナルの舞台へ足を踏み入れた。

ファイナル第1試合
東家 風見くく  (チームグラディウス)
南家 歌衣メイカ (チームアトラス)
西家 渋谷ハル  (チームアキレス)
北家 緑仙    (チームヘラクレス)

東1局

歌衣が【3ピン】を引き入れてイーシャンテン。
【9ピン】が待ちとして優秀なこと、【3ピン】は自身で1枚使っていて少ない事から、【2ピン】【4ピン】と切って【6ピン】【9ピン】【5ソウ】【8ソウ】のイーシャンテンに構える方針。
だがここで、歌衣はいきなり打【4ピン】とせずに、【2ピン】を切った。

「これ引き次第ではリャンペーコーの可能性がある」

【5ピン】【3ピン】と引いた時のみ、リャンペーコーという役ができる。細い線だが、高打点の香りは逃さない。

【4ピン】を残す進行をし続けて、待望の【赤5ピン】を引き入れた。
これで【7ピン】【8ピン】外し。最高打点が見えてきた。

渋谷から出た【赤5マン】も、風見から出た【6ピン】もスルー。
歌衣は見極めていた。周りの状況、そこから導き出す、己の最適解。

歌衣が指導を受けている昨年の神域リーガー鴨神にゅうとの勉強配信で、こんな一幕があった。

「安い手に対して押す意識を持ちましょう」

鴨神が歌衣の苦手分野として挙げたのは、相手の安い手に対してオリすぎているという点だった。
副露に対しての警戒心は大切だが、時としてそれは、自らのアガリを妨げることになりかねない。
相手が安いとある程度わかったならば、迷いなく踏み込むことも大切なのだ。

それを踏まえて、状況を戻そう。

「鳴かない……周りが安い……勝負時……!」
「恐れるに足らず。(速度)合わせる必要ない」

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