西原理恵子 & 山崎一夫 禁煙なんていつでもできる!?




禁煙なんて簡単 いつでもできる?

先日の大幅なタバコ代の値上げで、ぼくの周りにも禁煙に挑戦してる人がけっこういます。。
すでに「挑戦してた人」と過去形になっている人も多いようですけど。

ぼく自身かつては、かなりのヘビー・スモーカーでしたが、15年ほど前に、雀荘経営を始めたのをキッカケに、ノン・スモーカーになりました。
以来、雀荘に付きもののタバコの煙は吸いこんでますが、自分でタバコをたしなむことはなくなりました。

「20年以上喫ってたという親方がやめられたんだから、わたしも挑戦してみます」

女性従業員たちの何人かが禁煙に挑戦しましたが、成功したのはごくわずか。
もちろん、ぼく自身も簡単に禁煙できたワケではなく、それまでに何回も挫折を繰り返してました。

禁煙に成功するのは、ある調査によるとわずか5%くらい。

「100人でたったの5人」

「でも20回挑戦すれば100%成功かも」

後半はあまり正しくなさそうな気もしますが、挑戦しないよりはいいかも。
ぼくの禁煙体験で今も記憶に残っているのは、

「1本だけならいいだろう…」

という失敗。
確かに1本ですめばいい。

「もう1本くらいなら…」
「2本も3本もいっしょ」
「今回は練習。この次こそ本番だ」

何回も元のモクアミ(黙阿弥)になってしまったのでした。
以下、禁煙失敗の言い訳特集です。

「自由に喫ってる人が許せない」
「軽い銘柄なら少しくらいだいじょうぶ」
「我慢してるとイライラする」
「イライラして周りに迷惑をかけるのは良くない」
「もう中年だし、今から禁煙しても間に合わない」
「せめて匂いだけでも」
「くわえるだけでも」
「火はいちおう付けるけど、煙は喫わない」
「肺の奥まで吸い込まないようにすれば良いに違いなひ」
「どうせ、喫煙者の副流煙を吸うんだす」
「だ、だめだ~!」

立ちのぼる紫煙を眺めながらの至福の一服のあと、たちまち自己嫌悪に陥ってしまうのだ。

せっかく禁煙しようとしてるのに、それを邪魔する喫煙者もいる。

「タバコくらいだいじょうぶ。俺のおじいちゃんは、煙で前から顔が見えないくらいヘビー・スモーカーだったけど、肺ガンになったのは80歳だった」
「酒もタバコもギャンブルも女もやらないヤツが若死にした」
「間違えて1ミリのほうを買っちゃった。君これ喫ってたよね、どうぞ」
「禁煙中だって? ふ~」

煙を吹きかけたりとか。
他に良く耳にするのが、禁煙による健康上の新たな弊害を防ぐとため。

「禁煙したら便秘になった。喫えば便秘が治る」
「不眠症になった」
「口が寂しいので食べ過ぎてメタボになった。タバコより絶対に不健康」
「タバコ代よりも、ストレス解消のための飲食や風俗通いのほうが高くつく」
「喫煙は遺伝だからムリしてはいけない」

ガマンできずに貰いタバコはいいほうで、灰皿のを拾ったり友だちのを盗んで喫うことさえあるんです。

禁煙すると肥るというのは、良く聞きます。
ぼく自身も禁煙に成功した当時は、その反動で数キロデブってしまいました。

「糖分の取り過ぎはダメ、脂っこいものはダメ、アルコールもダメ、コーヒーもダメ。せめてタバコくらい」

なんて繰り返しが危険です。

禁煙を成功させるための、禁煙パイプやニコチンガムやニコチンパッドなども売ってますが、成功率はせいぜい5%の2倍の10%くらいだとか。
お金と時間に余裕のある人向きには、病院の外来や入院による禁煙コースもある。

費用が高いのがネックですが、成功率はさらに高くなる。
もしそれで禁煙できるなら、将来のタバコ代などを考慮すると、安いものかもしれません。

適度な依存は あったほうが楽しい

タバコ中毒は、一般にニコチン中毒のように言われますが、実は医学的にはニコチンへの依存はそんなに強くないんだそうです。

その証拠に、麻薬類などのように、睡眠中でも禁断症状で、目が覚めることはなく、行動依存の側面が強いそうです。

さて、ギャンブル中毒は薬物を伴わないので、こちらは行動依存です。
ただし、自力で脳ミソの中に薬物同様の科学物質を作り出してるので、自力の薬物依存とも言えそう。
ギャンブルが成功した時の、達成感や全能感を生み出す、快感物質、いわゆる脳汁ですね。 じゅわ~。

「もう1回勝負したら帰る」
「もう1回だけ勝って帰る」
「負け分を取り返したら帰る」

こんな考えと行動に取りつかれてしまうんです。
そうなると、さらなるドツボにハマる可能性が高い。特に

「負け分を取り返したら帰る」

とは言うのはかなり難しい。

昔、歌舞伎町の裏の「旅館麻雀」をやっていた時に、貰ったばかりの年末のボーナスを持って勝負しに来てた年配のサラリーマンがいました。

夕方から打ち始めたんですが、ツイてなくてかなり負けが込んでました。
最初のうちは、あらかじめ用意しておいたズボンのポケットの中のお金を使っていたんですが、深夜近くになって内ポケットから封筒を取り出した。

「こんなに負けたままじゃ帰れないよな」

明らかにボーナス袋を分かるので、まわりの男たちがニンマリを目を見合わせておりました。
電車があるうちが場を洗う(勝負をやめる)タイミングだったんですが、それを逸したのは明らか。

周りから寄ってたかってサシ馬に誘われて、連敗に次ぐ連敗。
始発電車が出るころには、ボーナス全額を失ってました。

博打場では弱り目の人や、負け分を取り返そうとして焦っている人は狙われやすい。
打ち手だけでなく、旅館麻雀の胴元も、高金利の金を貸しつけて、カモのギャンブル依存につけ込むのだ。

このドツボから逃れる方法は主に2つ。

●強い意志で場を洗う。
●もっと不ヅキなヤツを誘い込んでカモにする。

食物連鎖に新たなカモが加わって自分が捕食者の立場になると、自分がカモだった状態が急に冷静に見えるようになるんです。

(文:山崎一夫/イラスト:西原理恵子■初出「近代麻雀」2011年5月15日号)

●西原理恵子公式HP「鳥頭の城」⇒ http://www.toriatama.net/
●山崎一夫のブログ・twitter・Facebook・HPは「麻雀たぬ」共通です。⇒ http://mj-tanu.com/

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