熱論!Mリーグ【Fri】
生きるか死ぬか⁉︎
諦めない男、園田賢は
マジシャンにあらず!
文・阿部柊太朗【金曜担当ライター】2018年11月30日
あなたは無人島に一人きり。
空腹でどうしようもないあなたの前には2つの食材。
1つは海で釣った鯛、大きく新鮮で焼いたらおいしそう。
もう1つは森で見つけたイモムシ、同じく大きく丸々としているが….。
さて、あなたはどちらを食べるか?
考えるまでもない。
プラスとマイナスの選択ほど簡単なものはないから。
では、目の前にヘビとイモムシしかないとしたら…?
マイナスとマイナスの選択があなたにはできるだろうか?
今回の主人公、園田賢の親番。
4巡目に佐々木からリーチを受けるが、まるで戦える手牌ではない。
次巡、園田は佐々木がツモ切っをなんとチー。
どんなとこからいっとんねん!と突っ込みたくなる。
そこを堪えて現状を冷静に整理すると、この鳴きの合理性が見えてきた。
先制リーチに対してオリを選択すると、自分以外が放縦しない限りは必ず失点する。
ツモられるか、流局してノーテン罰符を払うかのどちらかしか無いからだ。
つまり、オリることは失点を受け入れるということと同義。
オリは一見ノーリスクに見えて、実はリスクを伴った選択なのだ。
そしてこの状況は
・親番なのでツモられた場合の失点も大きい
・巡目が早く通っている牌も少ない
・そもそも安全牌がない
ので、押してアガりに向かった方がマシと園田は判断したのだろう。
まさにヘビを食べるかイモムシを食べるかで
「どっちにしてもしんどいけど、まだヘビの方がマシかな」
という選択だ。
次局の手牌。
さて、この手牌の評価は?
自風のがトイツであるものの、食べログなら星2つといったところか。
「先制リーチ受けて降りることになりそうだな」
と考えながら受け気味に手を進めるのが妥当な線か。
しかし園田の思考はこの時点で大きく異なる。
「この手で最もマシな選択は何か?」
を考えている。
園田の解答はオタ風のポン打。
①バックでアガりを目指すルート
②字牌を抱えながらマンズかピンズのホンイツを目指すルート
を天秤にかける。
この仕掛けにおいて最も大切なのは
「メンゼンで進行しても著しく価値が低い」
という点にある。
鳴いたところでアガりは厳しいが、鳴かなかったらもっと厳しい。
これもまたヘビを食べるか?イモムシを食べるか?というマイナスとマイナスの苦しい選択だ。
園田は鳴いたほうがマシと判断、ここでもまたヘビを喰らう。
ここでを引いて打。
②字牌を抱えながらマンズかピンズのホンイツを目指すルート
に絞った。
そして2巡後には、あの手牌がホンイツのリャンシャンテンになっていた。
園田の鳴きをマジシャンと称する人が多いが、私からはサバイバーのように映る。