ドラドラの勝負手、カン待ちでリーチをかける。
同巡、2着目で同じくドラドラの萩原もテンパイ。多井のリーチに全く通っていないを文字通り叩き切ってダマテンに構える。
これを受けたイーシャンテンの石橋。この手から全員に安全牌のではなく、リーチ者多井の現物ではあるものの萩原に通っていない切りとした。
もちろん、萩原にダマテンが入っていて当たる可能性があることも考慮したうえでの選択。
ここでを切ってを残しておかないと、萩原からリーチが入った時に対応できなくなる。
「リスクは承知、ただそれを前倒しして背負う。これにより俺は後の1巡を買う」
次巡、ノーチャンスではあるが多井のリーチに通っていないを引いてきて、ここは切り。
通っていない牌を先切りしてまで安全を買うことはしないが、それでも萩原に対してはよりも安全な牌を持つことができた。
同巡、萩原がリャンメン変化してリーチ。
石橋は宣言牌のをチーして切りでペン待ちのテンパイ。
もしあそこでを切れずに残していたら、萩原のリーチ後にを切るリスクを背負わなければならなかった。
「後の1巡を買う」
とはこのことだ。
次に危険牌を引いたらオリに回っていたであろう。
しかしリスクを前倒しして買ったこの1巡で、石橋はアガリ切ってみせた。
奇しくも親の多井と同じ待ちであるをツモって。
この日のトップを大きく引き寄せたこのアガリこそ、石橋の前半戦ベスト局と言えるだろう。
ゼウスの選択「マンガンをソウゾウせよ」
選手:鈴木たろう
日付:11/15(34戦目)
配信URL:https://abema.tv/video/episode/444-1_s1_p28 (3:00:20~)
局面はオーラス。トップ目の瀬戸熊とは9,000点差。
つまりこの手牌からマンガンの手を創造しなければならない。
さて、何を切るべきか?
たろうは想像した。この手牌から見出せるマンガンの道を。
たろうの選択は打。
チンイツの道、もしくは+タンヤオでのマンガンの道を目指すということか。
ちょっと待ってくれ、は何のために残しているのだろうか?
次巡、ツモ。
こ、これはもしかして…
.567の三色同順ではないか!
この道を誰が想像できただろう。
たろうは、いやゼウスは意志を持って残したから三色を創造した。
11巡目、あの手牌から高め三色のテンパイ。
しかしここからもう一幕魅せてくれるのがゼウス劇場。
リーチをかければ安めツモでも裏ドラが乗ればマンガンツモを満たす手だが、ここはダマテンに構えた。
多井・石橋からはハネマン以上の出アガリでないと条件を満たさない。それならば瀬戸熊からの高め直撃を狙う方が、トップの可能性が高いという考えだ。
こちらは14巡目の瀬戸熊の手牌。
瀬戸熊はここから安全牌のを切った。
も2枚切れなので、このままオリて終わらせようと完全防御の構え。
ゼウスはこの切りの意図を見逃さなかった。
瀬戸熊からはもうは出てこない。そう読み切ってリーチに踏み込む。
麻雀は正解が導き出しにくいゲーム。その中でこういった言葉を使うのは好ましくないかもしれない。しかし、あえて言おう。
完璧だった。