しかし実際、園田はこのではリーチに踏み込まなかった。
場に誰もソーズを切っていないこの場況、は単騎で心中する待ちとしては根拠薄弱だ。
これでようやく園田が50秒という時間、何を考えていたという謎が解けた。
そう、園田はリーチに踏み込める牌を探していたのだ。
麻雀牌34種のうち、手牌と捨て牌を除いた待ちになりえる22種。その全ての可能性を模索していた時間。それが50秒。
次巡、ツモ。これはツモ切り。やはりソーズは園田のお眼鏡にはかなわないようだ。
次巡、ツモ。
園田「リーチ」
迷いはなかった。当然だ。全ての可能性を考えていたのだから。
結果は萩原に3,900は4,200の放銃。
園田賢は考えて散った。戦って散った。
この文章を読んでいる皆様は、恐らく麻雀識者だろう。そんな皆様ならば、長考を「長い待ち時間」ではなく「知的ゲームの推理時間」と捉えることができるだろう。そうすれば園田の魅力が、また一つ増えるはずだ。
阿部柊太朗
最高位戦日本プロ麻雀協会所属。オンライン麻雀「天鳳」の牌譜機能を駆使した超緻密な観戦記が話題に。ブレイク間近の若手プロ雀士。
(C)AbemaTV
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