熱論!Mリーグ【Fri】
多井隆晴が魅せる
「攻守のバランス」
チームを背負った決死の闘牌
文・危険な鬼太郎【金曜担当ライター】2019年10月18日
Mリーグを観て麻雀というゲームを初めて観た!という方も多いと思う。実際見た感想はどうなのだろうか?
麻雀はルールが複雑で難しいゲームだ…。と思った方が多いと思う。役を覚えたり符計算は確かに大変だが、じつは麻雀自体はとてもシンプルなゲームだ。
誰よりも早く高くアガリ、もし自分がアガれないのならば守備をする。大まかに言えばそれだけだ。厳密に言えばもっとあるが今回は攻撃と守備、この二つに注目して書いていきたい。
2回戦
東1局
親の近藤が2枚目のポンとする。
「こんな手牌でポンしてもアガれないよ!」と思った方も多いと思うし私もそう思う。こういう時は逆に考えてみると近藤の思考は分かりやすい。
このきつい手牌。を鳴いて1500点か2900点が原価の手牌。この安くて遠い手牌だと手牌の守備力はなるべくは落としたくはないもの。
ならばをポンしてのバックにすればいざとなればを安全牌として使えるし、トイトイを目指すのならば守備力は多少落ちるが7700点以上の点数が見込める。リスクとリターンが見合う手になる。
滝沢がテンパイしてヤミテン。
この待ちの赤赤のテンパイ。リーチしてツモって裏1の跳満ツモを見る手も十分に有るが、が仕掛けて注目度の高い近藤の現物。必然のヤミテンか。
しかし次順ツモ切りリーチ!
近藤に対して危険なを持ってきてのリーチ。近藤のポンはとてもトイトイ臭く、筋のの出アガリは期待しにくい。
それにもし、近藤がを2枚持っていたとしても滝沢がリーチしたら放銃するのを恐れて鳴かなくなるかもしれない。そういうことを期待したリーチに見えた。
これに近藤が一発での放銃!
近藤の誤算はこの守備意識の高い手牌に対しての滝沢の捨て牌。字牌を切っておらずさらに真ん中の牌、中張牌ばかりを切っていてのツモ切りリーチ。
滝沢の手が七対子の字牌単騎に見えたとしてもなんらおかしくはない。さらに普通の手、例えばのリャンメン待ちテンパイだとしてもが場に2枚切れ。滝沢ならヤミテンを続行するはず。手牌の中で一番安全なのはだ。
近藤の誤算は滝沢の手が待ちではなく、待ちだったことか。しかし裏が乗らずに8000点で止まったことが幸い。
東3局
内川が先制リーチ!
これに追いつきテンパイしたのが親の滝沢。
皆さんならばどうするのだろうか?内川のリーチの一発目。とりあえずを切ってテンパイを取るorリーチ?守備で1枚しかない現物の?
もし守備意識でを切るのならばそれは守備にはならない。滝沢の手牌には現物がしかなく、通りそうな牌もか筋のしかない。を切った後に現物が続かず、次には通るか分からない筋のを打たなければならない。
ここでの守備とは無筋を切って安全牌を増やしつつ、アガリを目指すこと。その為に無筋のを切りテンパイを取らず、リャンメンテンパイでの復活を待つ。
ここは内川のツモアガリで1000-2000!裏ドラこそ乗らないものの、トップ目の滝沢の背後にピタリと付ける。
東4局2本場
親の多井がテンパイから面白い打牌を見せてくれる。
ダブと待ちのヤミテン。なら役が無いし、赤・ドラで打点は十分。例えば佐々木寿人ならば即リーチを選択してもおかしくはない。何故ヤミテンなのか?
それはダブで12000があり、ヤミテンでこの巡目だとまだ出アガリが期待できるのと、たとえをツモったとしても2600オール。打点としてはまずまずだ。
しかもこの手牌には変化が残されている。例えばを引いた待ちなどは絶好なのでそれは即リーチが出来る。ヤミテンにしたほうが多井は圧倒的に得な手牌だと感じたわけだ。
しかし、多井は2巡待った後にツモ切りリーチ。
巡目が立ってそろそろダブの出が期待しにくくなったことと、を引いて待ち変化はフリテンになることが大きな理由だと考えられる。
ダブを持ってない子供に伸び伸び打たれて親流れは最悪だ。当然子供の押さえつけも期待できる。
多井の狙い通りをツモ!
リーチ・ツモ・赤・ドラ・裏ドラ1の
4000は4200オールの大きなツモアガリ。アベマズで2連勝がもう目の前に迫っていた。
続く東4局3本場
多井がトップを獲得するためにたたみ掛ける!
を引き入れて3面張待ちのリーチ!もはやアガリは確約されたかのような待ちだ。そしてこのリーチ宣言牌のが内川を苦しめる!
安全牌のないこの手牌から、当たり牌のを一発で選んでしまう。
多井のリーチ宣言牌は安全牌のでのリーチ。つまりは安全牌のをかかえられるほど余裕のある手牌だということで、好形リーチの確率が非常に高い。