軍師・勝又健志の「ツモ切りリーチと先切り」風林火山に隠された二つの計略【熱論！Mリーグ】担当記者：渡邉浩史郎

トップは勝又だ！

結果として勝又はあの一巡の後先とリーチ判断で、トップと３着の順位点差６００００点＋放銃とテンパイ料の差３０００点、計６３０００点の収入を獲得したのだ。

さて、記事の途中で「風林火山に隠された計略」という小見出しと漢文を入れているが、実はこれらはあまり知られていないが『孫子』の原文に風林火山とともに並べられている比喩表現である。

まさに”陰”と”雷”の戦術でトップを取った勝又。２戦目では惜しくも３位となってしまうものの、オーラスまでトップ争いに食い込む戦いっぷりを見せてくれた。

群雄割拠のMリーグ。まだまだ下剋上は続いていくだろう。

おまけ

オーラスの攻防、勝又選手の記事としては少し離れてしまうため、本文には書かなかったものの、気になっている人も多いと思うため、こちらに載せておく。

小林も緊急避難を兼ねたタンヤオのチーテンを入れる。勝又の一人テンパイ、小林の一人ノーテンでトップが変わる以上、テンパイをしておくことに越したことはない。

ラス目の沢崎もテンパイを入れる。誰にも通っていないをびしっと切った。

「沢崎さん聴牌かぁ……」

そんな感じの一瞥を入れる小林。沢崎がテンパイであれば小林はテンパイを崩すわけにはいかない。

次巡沢崎がカンをツモ！！これで終局かと思われたが……

え！？

なんと打！！

アガらずだ！！

ラス目の沢崎からすればこのツモは素点を回復するツモでしかない。それならば次局があった時に倍満ツモでトップになる未来がある可能性に賭けたといったところだろう。

「あれ、沢崎さん降りたかな？」

ツモりながら横目を入れる。

小林がこう思うのも無理はないだろう。沢崎が切ったは前巡通った安牌。小林の目からが全部見えているため、スライドでもない。沢崎はの対子落としをしているため、七対子でもなさそう。はほぼ確実に対子落としだ。

「ならここでテンパイ取るために危険牌切って、しかも次局を行うよりは……」

降りだ。そして降りということは……

一人ノーテンで痛恨のトップ陥落。

恐らく沢崎はこうなることも計算に入れていたのだろう。沢崎が所属するKADOKAWAサクラナイツからすれば、より順位が近いパイレーツよりも風林火山にトップを取ってもらい、ボーダー争いが激しくなってくれたほうが結果的に通過率が上がる。

チームのリーグ戦という側面が色濃く出た局面だった。