堀慎吾だけが
成し得たテンパイ形
いつか還る、
その人を待って
【須田良規のMリーグ2021-22セレクト・4月18日】文・須田良規
KADOKAWAサクラナイツ・沢崎誠選手が「原発性骨髄線維症」の治療のため、長期で戦線を外れることになった。
ご本人は周囲に心配を与えぬよう、気丈に振る舞っておられると思うが、厳しい疾患である。
一刻も早い復帰を、と軽々しくはとても言えない。
どうか、お身体を大切に。
そしていつものように暖かい目で、3人のチームメイトたちの活躍を見守ってあげてください。
4月18日(月)の第2試合、堀慎吾は残ったチームの支柱として、このファイナルの大舞台に登板した。
結果から言えば、このゲーム堀は初戦2着だった岡田紗佳のポイントに大きく上乗せする形でトップをもぎ取り、
チームを首位に導く。
しかしその道中のアガリが、やはり堀にしかできない、独自の選択だったことに注目したい。
開局早々、東家のKONAMI麻雀格闘倶楽部・高宮まりから待ちのメンピン赤ドラリーチが入った。
この瞬間山に6枚残りの親満リーチである。
高宮の先制加点は固い、そう誰もが想像しただろう。
それを受けての堀は、11巡目にこの形になっていた。
まずオリる手ではない。真っ直ぐに親リーチに立ち向かうべき牌姿だ。
ただこの手牌、多くの人がを切るのではないだろうか?
しかし堀が選んだのは──、打だったのである。
確かには通っていないし、一見親リーチの中スジを追ったのかと見えるだ。
堀らしくもない、消極的な一打かと。そう思った次巡、
堀がツモった牌は。
打で現張りのマンガンテンパイを果たしたのである。
そしてほどなく高宮はを掴んでしまい、親満以上必至と思われた開局は、堀の返り討ちに遭ってしまった。
結果だけ見ればあっさりと堀がただ手牌に恵まれてアガッたような印象を受けるかもしれない。
しかし、このマンガン。アガれる人はそんなにいるものだろうか?
もう一度全体図を見よう。
「3枚見えで安全牌のを誰も打たないので、山生きの感触はあります。
にくっついてのピンフ赤赤は、現張りでも打点上曲げざるを得ないので、
そこはシャンポンになっても大差ないかなと。
よって引きには目をつぶって、引いたときに優位と判断して切りにしました」
つまり堀の望んだパターンは以下のこれ。
を切っている場合だと、
作れるのはこんなところか。しかしが強いために、上のテンパイ形を逃したくなかったと。
そして見事に引きのテンパイをとらえ、高宮のが間に合った。
高宮が掴んだとき、実際高宮の待ちであるはまだ4枚残りであったし、
堀がこの最速のアガリを逃していたら、この局の結果は逆転していた可能性が高い。
高宮の不運だけで──、
単純に片づけられるようなシーンではなかったように思う。
そして、東3局2本場でも、目立たないがやはり堀らしい選択の一打があった。
東家・堀はをアンコにしてこの形。
これも多くの人がを切ってイーシャンテンに構えそうなところで──、
を切っての、リャンシャンテン戻しである。
全体図はこう。