「まだ4巡目ですがすでに三者がを切っていて、こういう状況では上のくっつきが強くなります。
仮にの即テンパイを逃してもを軸にしたシュンツが強いので、そう裏目になりません。
それならば引きにも対応できるリャンシャンテンに受けた方がいいと思いました。
また、この手はを鳴いて7700は確定させるので、その場合も切りで周りとソーズの広いくっつきにした方がいいですからね」
「こういう早い巡目で、上がすでに期待できる場況だと、相対的に他の色が悪くなるため、
の二度受けに委ねるよりは周りとソーズの保険も持っておくことですね」
そして次巡、堀は我が意を得たりとこの牌を持ってくる。
こうなれば上のくっつきは見切って、十分形のイーシャンテンに取る。
この局はその後、西家・高宮がドラのをアンカンして場に緊張が走ったが──、
北家が高宮の安全牌であるを切って、堀がチー。
3メンチャンで悠々高宮の手をかわすことに成功する。
余談だが、確かに山に4枚生きであったも堀の手に来ており、強い受けができるルートもあったことがわかる。
反面は薄く、マンズをで引っ張ることはそう優位な局面ではなかったと思う。
どうだろう?
振り返ってみれば──、
沢崎も私たちが思うような常識とは違う打牌で、思いがけないアガリを生みだしてくれる選手だったと思う。
もちろん堀とは違うアガリの組み立て方のロジックがあるのだろうが、
それぞれが自分の考える独自の理論で、結果だけでは気づきようもない驚愕の道筋を数多く紡ぎ出している。
きっと、私たちの多くは凡庸で。
開局のシーンはを切って、東3局のシーンはを切って、
「ああ普通に打ったけどアガれなかったな」と、
相手の幸運をうらやんだり、自身の不運を嘆いたりの1局を繰り返しているのかもしれない。
沢崎や、堀の麻雀は、やはり私たちとは違うと思う。
私たちはこうやって、自分にはできなかったアガリを見せてくれる存在を、常に求めているのかもしれない。
しかしサクラナイツは本当に3人で──、大変だな。
堀慎吾の、独自の麻雀が見たい。
それを支える、内川幸太郎と岡田紗佳のひたむきな麻雀が見たい。
沢崎誠の──、麻雀が見たい。
日本プロ麻雀協会1期生。雀王戦A1リーグ所属。
麻雀コラムニスト。麻雀漫画原作者。「東大を出たけれど」など著書多数。
東大を出たけれどovertime (1) 電子・書籍ともに好評発売中
Twitter:@Suda_Yoshiki