「ミス」から目を背けず、
諦めることなく、
全てを乗り越えろ!
ベストバランス松本吉弘、
インタビューで語った
「反省」と「幸運」
文・渡邉浩史郎【金曜担当ライター】2023年2月3日
第1試合
「大きなミスだったと思います」
この半荘トップを取った松本は、勝利者インタビューでそう語った。
【南2局1本場】のことである。
手詰まりから切ったこのが……
内川に役役ドラドラ、8000の放銃。
この局の二人の手牌進行を振り返ってみよう。
最初に動いたのは内川、役役ドラの手牌からポン。を切って手を進めていく。
この一枚目のを親番松本がスルー。遠くにホンイツが見えるとはいえ、まだターツも足りてない手牌、ここはいったんこの手の攻守の選択も含めて保留とした形だ。
内川はターツの形が決まるが、ここは打としてマンズの伸びを見る。
点数状況的にはまだまだ不安な二着目。のポンとドラ両方を使っての3900~8000クラスを見ていきたいところ。
ここで松本も動く。前巡、待望のドラを重ねてから嬉しいのポン。イーシャンテンの形は……
打とした。単独の浮き牌であるからの伸びは、内川の持っているマンズの四連形と比べて愚形になってしまうケースが多い。
それよりも、の安全度+を重ねての上がりやすい役役ドラドラマンガンルートを残した。ベストバランスの一打といえよう。
意志ある一打が意志あるツモを呼び込む。というのは大げさだが、このを捉えられる人はそう多くないだろう。
ここは打として、マンズ・ピンズの両面変化を最大限見る形にした。
狙い通りにマンズを両面にして、ピンズのカンチャン払い。ここまでは松本の思惑通りに進んでいるかと思えたが……
ここで内川がドラを重ねて打! もも、松本と互いにネックのシャンポンが持ち持ちになるという珍事。
膠着状態になるかと思われたが……
ここで松本が外したカンを、赤で引いてくる!
マンズの両面、ドラの対子には触らないとして、ピンズの両面はフリテンとはいえ場に程よく切られている。内川からのチーも出来そうな牌だ。
であればここで出ていくのは……
だ! これをすかさず内川がポン!
これでカンの聴牌。河を見ると、既にが3枚切られていて非常に良さそうな待ちだ。
ここで松本に聴牌が入る! しかし残ったのはフリテンの……
出ていく牌は内川に無筋の。
松本視点で局面を探ってみよう。
内川は3巡目ポンで打。次巡打とした後、3巡ツモ切りののちに再びを手出ししている。
その間に一枚切れのといった安全牌候補をツモ切っているため、は手牌に関連している牌として考えることができる。また既にが四枚見えているため、考え方としては
①より下に伸びているパターン。
②より上に伸びているパターン。
の二つを想像する。
①の代表例は、といった形。